初恋は、終電の先に
01.終電が連れてきた、冷たい風と春の匂いと初恋の人
「んあー……」
私は深夜のオフィス街を、背中を丸めて歩いていた。
そろそろ冬が終わる時期だ。街路樹の根元にはチューリップの蕾が膨らんでいるし、駅前の桜並木にも蕾が出てきている。そろそろ春にならないかな。なってほしい。ほんとに、お願いします。
けど、まだまだ夜風は冷たい。凍えるようなビル風が吹き抜けて、思わず肩を竦める。首元では「秋谷奈月」と印字された社員証が外し忘れて揺れていた。
ため息をついて、首から社員証を外し、カバンに突っ込んだ。
欠伸をしながら、スマホを改札に当てて通り過ぎる。
『間もなく電車が参ります……最終電車となりますので、お乗り忘れのないよう……』
今週四回目の最終電車。
月曜日に早めに帰れたから、今週はそんなに忙しくないかも、なんて思ったのに、全然そんなことなかった。
むしろ、油断を誘うための罠だったのかも。なんのだよ……。
しばらくしてやってきた電車に乗り込んだ。
電車の中は温かくて、疲れた体に染みる。
「ふう……」
ガラガラの電車の中、人目がないのをいいことに、どさっと座席に腰を下ろした。
頭が重い。
最近本当に忙しくて、忙しくて、家には寝に帰っているようなものだ。
休みの日も遊びに行く元気がなく、ほぼ寝て過ごして、日曜日の夕方に何とか家事をして生活を回している。
んー、でも、年度が変わったら、少しは落ち着かないかな。
まぶたが重たくて、開けていられない。
今、どこだろう。
あと、何駅かな。
電車が走る音と揺れで、ますます頭がぼんやりしてきて、もうダメだ。
私は深夜のオフィス街を、背中を丸めて歩いていた。
そろそろ冬が終わる時期だ。街路樹の根元にはチューリップの蕾が膨らんでいるし、駅前の桜並木にも蕾が出てきている。そろそろ春にならないかな。なってほしい。ほんとに、お願いします。
けど、まだまだ夜風は冷たい。凍えるようなビル風が吹き抜けて、思わず肩を竦める。首元では「秋谷奈月」と印字された社員証が外し忘れて揺れていた。
ため息をついて、首から社員証を外し、カバンに突っ込んだ。
欠伸をしながら、スマホを改札に当てて通り過ぎる。
『間もなく電車が参ります……最終電車となりますので、お乗り忘れのないよう……』
今週四回目の最終電車。
月曜日に早めに帰れたから、今週はそんなに忙しくないかも、なんて思ったのに、全然そんなことなかった。
むしろ、油断を誘うための罠だったのかも。なんのだよ……。
しばらくしてやってきた電車に乗り込んだ。
電車の中は温かくて、疲れた体に染みる。
「ふう……」
ガラガラの電車の中、人目がないのをいいことに、どさっと座席に腰を下ろした。
頭が重い。
最近本当に忙しくて、忙しくて、家には寝に帰っているようなものだ。
休みの日も遊びに行く元気がなく、ほぼ寝て過ごして、日曜日の夕方に何とか家事をして生活を回している。
んー、でも、年度が変わったら、少しは落ち着かないかな。
まぶたが重たくて、開けていられない。
今、どこだろう。
あと、何駅かな。
電車が走る音と揺れで、ますます頭がぼんやりしてきて、もうダメだ。


