鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した

06.鬼同期とエビセン

 長谷川がお隣さんになってから二週間くらい経ったころ、仕事中にちょこちょこ声をかけられるようになった。


「立花、今いい?」

「ラジオ体操二回分待って」

「……?」


 怪訝そうに眉をひそめる長谷川の顔が面白くて、思わず吹き出した。


「だいたい六分くらいだよ。終わったら私から声かける」

「あー、じゃあメール送っとくわ」

「よろしく」


 別に、大したやり取りをするわけじゃない。

 秦野ちゃんがまとめた資料のダブルチェックとか、企画の下読みとか、頼まれるのはそんな簡単なことばかりだ。

 メールをいくつか送ってから、長谷川からのメールを開いた。


『○○さんに以下のメールを送るから、文章キツくないか確認お願いします』


 こういう依頼も、たまに飛んでくるようになった。


 前にコメダで「言い方キツイもん」って言ったのを、どうやら気にしていたらしい。

 社外向けのメールとか、お客様に出す資料とか。週に二回くらい、こうして文面チェックを頼まれるようになった。


 実際、たまに言い方がキツかったり、「それはちょっっっっと角立つな……」みたいなのもあるから、やんわり言い換えて返したりしていた。

 今回もダメってほどじゃないけど、ちょっと引っかかる表現だけ直して送り返しておく。するとすぐに、


『対応のほどありがとうございます』


 と、さらっと返事が返ってきて終わり。


 ……たまに、私は子供の作文を添削する母ちゃんか? みたいな気分になる。でも、それで仕事が円滑に回るなら別にいい。


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