鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した
 玄関で明かりをつけると、散らかった部屋が一気に視界へ飛び込んできた。


「……汚いな」


 はい、汚いです。

 手にしていたコンビニ袋を台所に置いて、とりあえず足元に転がっていたいらなそうなものをゴミ袋に突っ込む。

 長谷川がくれた二枚のゴミ袋に、口が閉まる限界までゴミを詰め込んだ。

 途中で空のコンビニ袋が出てきたので、缶ゴミはひとまずそこへ突っ込んでいく。


 ゴミ袋とコンビニ袋がどっちもいっぱいになったところで、今日はもうおしまいにした。

 明日の帰りにゴミ袋を買ってきて、一日一袋ずつでも捨てていこう。

 袋の口を縛って風呂に向かった。


 風呂上がりのチューハイはいつもより美味しかった。

 でも飲み終わればまた缶ゴミが増えるし、買ってきたお弁当の容器だってそのままゴミになる。はやくも心が折れそうだった。


 翌朝、ゴミ捨て場から出たところで長谷川に会った。


「おはよう。さっそくゴミ捨てしたんだ。なんだ、やればできるじゃん」

「もらったゴミ袋にゴミ詰めて捨てただけだよ」

「でも、立花の部屋のゴミは減ったんだろ? 思い立ってすぐ動けるのはえらいよ。えらいえらい。この調子で頑張れ」

「……なんか、長谷川、ちょっとオカンだよね」

「はあ?」


 歩き出すと、長谷川も隣に並んできた。


「あのね、帰りにゴミ袋を買って、一日一袋ずつゴミを出そうかと思います」

「うん。頑張ってくれ」

「応援とリマインドのほど、よろしくお願いします」

「俺がオカンなんじゃなくて、そっちが子供なんじゃねえか」

「ふふ、そうかも。助けて、ママ」

「自分の部屋は自分で掃除しなさいって、母ちゃんいつも言ってるでしょ」

「あはは」


 朝の空いた道を、意外とノリのいい長谷川と笑いながら会社へ向かった。
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