陽キャのイケメンたちは地味で目立たない私に惚れたらしい
この寮は有難いことに、男女でお風呂もトイレも分かれていて、私は気にせずに好きな時に使えるらしい。善くんの看病も終わったし、洗い物を早々に済ませてお風呂に入った。
お風呂中、櫂くんとの言い合いを思い出して、ムキになった私が悪かったなと反省しつつも、謝ったあとに態度が悪いまま、文句を言われるシーンが想像できて、ごめんの言葉がどんどん奥に引っ込んでいく。
でもこのままだと、私が一人で拗ねて悪いまま。私もちゃんと謝ろう。
お風呂から上がって櫂くんの部屋へ行く前、善くんの部屋の前を通った時様子が気になって、音を立てないように部屋を覗いた。寝息を立てて眠っていて、そっと近づいて額に触れると、微熱感はなくなっていた。
「良かった…」
一安心で櫂くんの部屋へ行こうとすると、細くて暖かい手が私の手を掴んだ。
善「お母さん…」
「お母さん?」
善くんの目は閉じていて、多分寝言。でも私の手を掴む力は強くて、振り解こうとしても無理。櫂くんの部屋へ行けないので起こそうと善くんを見て、さっきはなかった涙が頬に流れているのに気づいた。
服の袖で拭うとこちらに寝返りを打って、枕に頬擦りしている。善くんは極度の寂しがり屋なのかな。どこにいても一人でいる瞬間を見たことがない。
「ごめんね。手、離して?」