偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

バイトが終わって携帯を確認したところ、百合子から不在着信が来ていた。

メールも来ていたようで、
『楓に迷惑かけてごめん、
榊さんについてはこちらから謝罪するから気にしないで』という内容だった。

本当は電話で答えるべきだと思ったが、電話する気力がなく、メールで返信した。

家に帰ってからは、なにも考えたくなく、
ベッドにすぐ横たわったが、
榊さんの軽蔑している表情が頭から離れなかった。

ー翌朝

今日もコンビニバイトがある。

携帯を確認すると、
百合子から『榊さんに事情を話して許してもらえた、本当にごめんね』というメッセージが来ていた。

おそらく百合子に対しても、
私と同じような態度だっただろうに、
許してもらえる百合子はすごいなと思った。

ー私はまだ話せる気がしない。
そもそも、またコンビニに来てもらえるかわからないけど…

私は職場であるコンビニに着き、
同じシフトのバイトの子にレジの時間帯を変わってもらえないかお願いした。

レジをやってもらう代わりに、
その時間は裏方として揚げ物をしたり電話対応をしたりする。

いつもは私が早い時間に裏方の仕事をして、そのあとレジの対応をしていたが、
それを逆にしたいとお願いしたのだ。

大体シフトが同じになる青木くんからは、「こちらは何でも大丈夫ですが、良いんですか?」と聞かれた。

青木くんには榊さんのことを伝えたことはなかったが、もしかしたら憧れていたこととかがバレていたのかもしれない。

「うん。申し訳ないんだけど、しばらくそれでお願いしたくて…」

私がそう伝えると、
青木くんはそれ以上何も聞かずに、
レジを変わってくれることになった。

ーこれで榊さんにレジ対応することはなくなる。

もちろんもうコンビニに来ない可能性もあるが、
近くにコンビニになく、
榊さんがここに来たい可能性もある。

私がいたら気まずいだろう。

私はこれで良かったんだ、
そう思って、仕事にとりかかった。
< 12 / 62 >

この作品をシェア

pagetop