偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

青木くんにレジを変わってもらってから一週間、
つまり榊さんと会わなくなって一週間が経っていた。

平日は毎日来てくれていたので、
会えなくなっただけで、
楽しみがなくなってしまった。

コンビニバイトはなんとか頑張っていたが、
午後は短期バイトはもちろん、
何もやる気が起きず、
ただ寝っ転がっていた。

ーこのままではよくない。
わかってはいるが、やる気も気力もでない。

とりあえず、今は仕事に集中しよう。

今はレジの時間帯だが、
この時間はあまりお客さんがいないため、少し暇で色々考え事をしてしまっていた。

そんなことを考えていると、
かごに大量に商品をいれている人がレジに向かっていることに気付いた。

ーこんな時間に大量に購入するの珍しいな。
でも、これだけレジに打っていれば、
変なことは考えずにいられるな。

帽子を深く被っている男性に向かって、
「お預かりします」と笑顔で伝えたら、
見覚えがある顔があった。

「え、榊さん…?」

ーなんでだろう。
まだ早朝5時だから来る時間ではないのに。

それにいつもと違ってスーツではなく、
私服姿で帽子をも被っていたので、
全然気付かなかった。

「やっと…会えた」

榊さんはなんとなく安堵した表情にみえた。

ーどうしよう、
榊さんと話すことを想像していなく、
緊張してしまう。

ただこの商品の量だとかなり時間がかかりそう。

青木くんに手伝ってもらえないかな、
そう思って青木くんの方に目を向けたが、
なぜかウィンクをして、
そのまま裏方の仕事を続けていた。

なぜウィンク?と思いつつ、
助けてもらうよは難しそうだと思い、
とりあえず早くレジを終わらせようと手を動かし始めた。

「この前はすみませんでした」

思いもよらなかった言葉を掛けられ、
思わず顔を上げた。

ーなんで榊さんが謝るんだろう?

「百合子さんに事情を聞きました。
楓さんは百合子さんのために協力しただけだったのに、失礼なことを言ってしまい、すみません。」
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