偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
「いえ、どんな事情があったとしても、
騙したのはこちらなので…、
本当にすみませんでした」
この前はバレてしまったことに気を取られていて、謝れなかったので、
謝れて良かった。
「ただ、百合子からも聞いているかもですが、百合子は事情がありまして…
これからも取引を続けていただけるとありがたいです」
こんなこと私がいうことではないかもさはれないけど…、
親友として自分のせいで百合子の仕事に悪い影響がいくのは嫌だった。
「やっぱり思った通りの人でよかった…」
「はい?」
良く聞こえなかったので、
榊さんに聞き返したが「なんでもないです」と返されてしまった。
「百合子さんとは、
お話しして解決しています。
仕事はこれまで通り続ける予定です。」
ー百合子から聞いていた通りで良かった。
もしかすると、百合子が私に心配掛けないように、上手く行ってなくても嘘をついているのではないかと心配だった。
「良かったです」
これで一件落着で良かった。
ーそれにしても、わざわざ謝罪してくれるなんて、本当に優しい人だな…
許してもらえて良かった…
そんなことを考えながら、
レジを打っていると、
「もし良ければ…、またご飯を食べに行きませんか?」と話し掛けられた。
「え…?」
「今回のお詫びと言ったらなんですが…」
「いえ、気にしないでください」
ー謝られただけでもびっくりなのに、
ご飯にまで誘ってくれるなんて…
なんて優しいだろう。
榊さんに気を遣わせないよう、
笑顔で断ったが、榊さんの表情は曇っていた。
「この前楓さんに頂いたアドバイスのおかげで、仕事が上手くいっていまして…
もし良ければ、また話を聞いてほしいんです」
ー私のアドバイスが役に立ったんだ…
前の仕事を辞めてから、
自分の仕事や意見は求められていないと思っていたけど、そうじゃなかったんだ…
私が心の中で感動していると、
「なので、良かったらまたご飯食べに行ってもらえませんか?」と榊さんが頭を下げていた。