偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
【青木side】コンビニバイト
ー今日も暗い顔をしている。
一緒のコンビニバイトである秋元さんがここ最近ずっと暗い顔をしていた。
なぜか接客のタイミングを変えてほしいとお願いされたので、
接客で何かあったのかもしれない。
なんとなく聞かれたくなさそうにも見えたため、何も聞かなかったが、ずっと気になっていた。
気になっているといっても、
秋元さんのことが好きなわけではない。
俺が数ヵ月前にバイトを始めたとき、
優しく仕事を教えてくれたのが秋元さんだった。
凄く丁寧かつ的確だったので、
なんでバイトなのか不思議だったが、
そこも振れない方がいいのかと思って聞かなかった。
俺にとっては優しい先輩なので、
勝手に心配していた。
「いらっしゃいませ。」
「コーヒーをお願いします。」
接客のタイミングを変えてからわかったのだが、毎朝6時になるとすごくイケメンの男性がコーヒーを買っていく。
すごく顔が整っているが、
スーツを着ているため芸能人ではないのだろう。
気付くと目で追っていた。
数日目で追っていたから気付いたのだが、コンビニに着くとなにかを探しているようだった。
そして、毎回俺を見ると少し残念そうにしているようにも見えた。
最初はなんで残念そうにするんだ?と不服に思っていたが、
段々もしかすると秋元さんのことを探しているのでは?と思うようになった。
ー秋元さんが接客のタイミングを変えたいと言ったのは、この男性のせいなのか?
もしかしてストーカーとか?
ストーカーには見えない男性だったが、
自分では判断できなかった。
でも秋元さんがこのまま暗い顔をしているのもな…
俺は一か八か声を掛けてみることにした。
「いつもの女性店員でしたら、
今裏で仕事していますよ。」
さりげなく声を掛けたら、
男性が安心しているようにも見えた。
ーやっぱり秋元さんを探していたんだな。
「もっと早い時間…5時とかなら接客してますよ。」
「ありがとうございます。」
余計なお世話かと思ったが、
すごく感謝されたので良かった。
もし万が一秋元さんが嫌そうにしていたら助けよう。
ー翌日
5時にいつもの男性が来た。
いつもとは違ってラフな格好で、
キャップを深く被っている。
レジにいる秋元さんの顔を見て嬉しそうにしたが、いきなり不安な顔になり、
カゴに大量に商品を入れ始めた。
ーいつもはコーヒーばかりなのに。
怪しい…
俺は仕事をしつつも、さりげなく男性を目で追っていた。
大量にカゴに入れたまま、レジに向かっていた。
俺は2人からは見えなそうな場所で、
でも声が聞こえるくらいの範囲で、
2人の会話を盗み聞きした。
「やっと…会えた」
男性が秋元さんに声を掛けた。
秋元さんはすごく驚いていたが、
嫌がってはいないようだったので安心した。
秋元さんが何か縋るような目でこちらを見てきたが、ここは行かないほうが良いなと思い、ウィンクして見守っていることを伝えた。
伝わっているのかはわからなかったが。
結局男性と秋元さんが今度ご飯に行くという話でまとまったらしい。
「良かったですね。」
「ありがとう。元気が出たよ」
秋元さんが久々に心からの笑顔になって安心した。