偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
「いつも朝コンビニで楓さんの笑顔を見て、元気を貰っていました。
その割にお見合いのときは、気付かなかったので信憑性ないですが…」
ー私のこと覚えていてくれたんだ…
てっきりお見合いのあとに、
お見合い相手に似てる人がコンビニで働いていると気付いたのかと思った。
「恥ずかしながら美容関係の会社に勤めているにも関わらず、
メイクが違うだけで全然気付かず…
お見合いしているときに、
誰かに似ているなと思いつつ、誰かがわからなかったんです」
「そうだったんですね」
「そして私の勘違いであんなことを言ってしまい…
この件はもう謝らないで欲しいと言ってもらえたので何も言いませんが…
とにかく謝りたかったんです」
「すみません、気を遣わせてしまい」
「いえ、楓さんは謝らないでください。
でもいつもの時間に楓さんがいなくて…
私がレジをしてもらっているときに楓さんを探して、挙動不審だったと思います。
レジの青年に話し掛けられて…」
榊さんはそのときのことを思い出してか、少し笑っている。
レジの青年って青木くんのことかな?
「そ、そうだったんですね」
「はい。
一週間くらい経ってから、
『いつもの人なら今裏で仕事をしています。レジの対応はもっと早い時間しかしていません』と教えてもらったんです」
ーそうだったんだ。
確かになんでこんな早朝に榊さんがいるんだろうと、ずっと不思議ではあった。
「そこで早い時間に来て、
謝る時間も欲しかったので、
たくさん商品を購入して…
こう話すとストーカーみたいで怖いですね」
自虐的に話す榊さんに、
思わず「そんなことないです」と前のめりになり叫んだ。
個室だったから良かったものの、
榊さんも驚かせてしまった。
「すみません。
でもストーカーみたいなんて思っていません。
すごく嬉しかったので…」
「良かったです」
榊さんが微笑んでくれて安心した。
「あの…良ければまたご飯に行きませんか?」
「え?」
ー正直今日で終わりだと思っていた。
またご飯に行けるの?
「また仕事の話を聞いて欲しいのと…
いやそれだけではなく楓さんと話すと安心するんです」
「ありがとうございます。
私も榊さんと話すと安心します」
「そうしたら、また是非行きましょう。
連絡先も交換してもいいですか?」
「もちろんです」
「また連絡しますね」
榊さんに見送られて家に帰った。
また榊さんとご飯に行けるなんて、
信じられない気持ちと嬉しさで、よくわからなかった。