偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています

片思い


榊さんとご飯に行ってから、
青木くんにお願いして、また裏方とレジの時間を変えてもらった。

青木くんは何も聞かずに、
「いいですよ」と笑顔で変わってくれた。

榊さんとはまた毎朝レジで会うことができた。
会話自体は前と変わらないが、
なんとなく距離が近づいている気がした。

榊さんとはその後、
すぐにご飯に行くわけではなかったが、
連絡は毎日取り続けていた。

最初は食事のお礼から、
その後は仕事の話や、いつか行くために好きな料理やお互いのおすすめのお店を教え合ったりした。

ーこういう風に異性と連絡を取り合うの久々だけど、良い感じなのでは…?

私は暇さえあれば浮かれそうになってしまったが、なんとか暇にならないよう短期バイトも入れるようにした。

今までは接客系のバイトしか入れないようにしたが、少しずつ企業のバイトも入れるようにした。

企業のバイトといっても、
データ入力など簡単な作業しかなかったが、
今までオフィスで働くとトラウマが出てしまいそうだと避けていた自分にとっては、大きな一歩だった。

「先ほど頼まれた仕事終わりました。
他にありますか?」

「もう終わったの…?
えっと秋山さんだったよね。
では、こちらの作業お願いできるかな?」

「はい。わかりました」

ー短期バイトのときは、
名前で呼ばれることがなかったが、
名字で呼んでもらった。

少し認めてもらえた気がして嬉しかった。

企業の短期バイトを始めて、服とコスメも少し買い足した。

今までだとラフすぎたので、
シャツとパンツスタイルの服を買い、
それにともない、コスメを少し変えたくなり購入した。

少しずつ変わっていく自分が好きになっていた。

榊さんとは連絡を取り続けていて、
よく近況を教えてもらっていたため、
榊さんにとって大したことではないと思ったが、
企業で短期バイトを始めたことを伝えた。

榊さんはとても褒めてくれて、
激励のメッセージをくれた。



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