偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています
「私、榊さんのこと大好きですよ。」
「うん、伝わってるよ。」
「実は…コンビニバイトしているときから、密かに憧れていました。
榊さんが来てくれた日は仕事も張り切って出来ました。」
「そうだったの?というか覚えてくれていたの?」
榊さんは俯いていたが、
驚いた表情でこちらを向いた。
「はい。毎日榊さんが来てくれるのを楽しみにしていました。」
「嬉しい。
俺も楓に会うの楽しみにしてた。
本当は会社の近くにカフェがあるから、そこでコーヒー買う方が都合良いんだけど…
楓に会うためにあそこのカフェ寄っていたんだ。」
「そうだったんですか?」
「うん。でも笑顔で接客してもらえるのは、仕事だから…客から馴れ馴れしく話し掛けられたら嫌だろうなと思ってなにもしなかったけどね。」
ー榊さんに話し掛けられたら、
みんな喜ぶと思うけど…
ただ、榊さんがそんな風に思っていてくれたのを知らず、すごく嬉しくなった。
「そうだったんですね…嬉しいです。」
「俺も嬉しい。」
二人で笑い合った。
「ごめん、雰囲気を台無しにしちゃうんだけど、もういいかな…?
ちょっと我慢できなくて」
「は、はい」
さっきまで笑い合っていた榊さんが、
少し余裕がなさそうにみえる。
「ごめんね」
榊さんが髪を撫でながらキスをしてくれた。
最初より痛みを感じなくなってきた。
「いつも…余裕なくてごめんね」
榊さんがゆっくり呼吸しながらこっちを見てきて呟いた。
そんな行動でも色気を感じてしまう。
私は言葉を発する余裕がなく、
首を振って否定した。
「一生大切にするからね。
幸せにする。」
榊さんの声に反応したかったが、
もう更に余裕がなくなり、
とりあえず抱き締め返して気持ちを伝えた。