矢神さん僕の事誘ってます⁈

後悔

〜side日尾〜



「光莉…」



「由和…」



「由和に会いに来ちゃった…」



そう言うと光莉は僕に抱きついた…



ただただ戸惑う僕は、どうする事もできず、その場に立ち尽くした…



「何しに来たんだよ…お前には家族がいるだろ⁇」



日尾光莉《ひのおひかり》は兄貴の嫁で、僕の元カノだった…



光莉と僕は大学の時から付き合っていた…光莉は僕と同い年で、学部も同じで、サークルも同じだった…



20歳の時から付き合っていて、3年間付き合い、僕は結婚も考えていた…



だけど…大学を卒業して勤め始めて一年が経ったある日、光莉は突然僕に別れようと言ったのだ…好きな人ができたと…しかも相手は僕の兄だった…



ショックな僕に追い打ちをかけるように光莉は兄貴と結婚し、程なくして由也が生まれた…



兄と結婚したと言う事実と、後々考えると自分は二股を掛けられていたという二重にショックな事実に、僕は暫く立ち直れず、人を信じられなくなっていた…



兄貴と顔を合わせる事も嫌になり、僕は極力兄夫婦と会う事を避けた…



「由和に話があるの…私…由貴《よしたか》とは別れるつもりなの…」



身勝手な光莉の言いように僕は心底腹が立った…



「そんな事僕が知るかよ…光莉が兄貴と別れようが僕には関係ない…帰ってくれ…」    



3年前に光莉に振られ、兄貴の嫁となり、僕がどれ程傷ついたか…忘れられる訳がなかった…



「話したいことは他にもあるの…由也は本当は貴方の子なの⁈」



光莉の衝撃的すぎる言葉に耳を疑った…由也が僕の子ども⁈そんな事ある訳がない…



「そんな事ある訳ない…だって、僕と付き合ってる時から光莉は僕と兄貴を二股かけてたんだからな⁉︎」



当時の事を思い出しても、光莉が僕の事を裏切って兄貴に鞍替えしたという事実しか浮かんでこない…僕は有り得るはずのない可能性に耳を疑って言い返した…



「どうしてそんな事がないって言えるの⁇確かに私は由和と由貴2人と付き合っていたけど、もう由貴と結婚した時には、由也は私のお腹の中にいたのよ…ない可能性じゃないわ…」     



光莉は自信満々に驚く事を口にした…ない訳ではない可能性に一瞬ハッとしてしまう⁈光莉は「それに…」と言って言葉を続ける…



「それに…由也が凄く貴方に似てるの‼︎血液型も貴方と同じB型よ」



光莉の言葉に僕は真っ青になる…兄貴はO型だ…光莉O型だから、B型の子どもが生まれる確率は低い…



「何で今更そんな事言うんだよ…」



下を向いて真っ青になり僕に追い打ちをかけるように光莉はこう言った…



「由也が本当は貴方の子どもなら、本当は私たち一緒にいるべきだったんじゃない⁇」



不敵に笑みを向ける光莉に僕は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けて、僕はその場に立っていられなくなった…
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