きらきら冬のテントウムシと雪のお菓子

第一話

 冬のはじまり、きらきら光る初雪が、野原を静かに覆いました。

 その雪に埋もれた落ち葉の下、赤い背中に黒い水玉をもつ小さなテントウムシの「ルゥ」は、寒さにぷるっと体をふるわせていました。
ほんとうは冬になる前に眠るはずだったのですが、ルゥはどうしても見てみたいものがあったのです。

「雪の国のお菓子……」

それは、北風がこっそり教えてくれた噂でした。
雪がたくさん降った夜、月の光とまじりあって生まれる、特別なお菓子があるというのです。

勇気を出したルゥは落ち葉を持ち上げ、雪の壁をよじ登り、
ころころと雪の上を歩き出しました。
すると、きらきら光る坂の向こうに、小さなお菓子の町が見えてきました。

家は角砂糖、屋根はホイップクリーム。
道は飴玉で、街灯は金平糖の星。

「まあ、ちいさなお客さまね」

声をかけてきたのは、雪だるまの姿をしたお菓子職人でした。
手には、雪みたいに白いマシュマロを持っています。

「冬をがんばる生きものには、甘いごほうびがいるのよ」

そう言って、職人はルゥに雪のクッキーをくれました。
さくっとかじると、ミルクと月の光みたいなやさしい味が口いっぱいに広がります。

体の奥まで、ぽっと温かくなりました。

その瞬間、ルゥの背中の水玉が、きらきらと光り始めました。
それは、お菓子の町からもらった「冬を越える力」でした。

「ありがとう。春になったら、また会いに来ます」

ルゥはそう言って、雪の中に小さな足あとを残しながら帰りました。



やがて春。
雪がとけ、花が咲くころ。
野原では、赤い背中をきらきら輝かせたテントウムシが、元気に空を飛んでいました。

その羽ばたきは、まるで――
冬の雪と甘いお菓子の思い出を、空にまき散らしているようでした。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop