地元なじみ。


夏祭りを楽しむこと1時間と少し。
もうすっかり日は暮れて、提灯の明かりが映える空模様になってきた。

梓ちゃんはまだ屋台巡りをしているけれど、私は病み上がりの影響か少し疲れてしまったので、校舎横にあるグラウンドを見渡せるちょっとした高台のコンクリートの部分座って1人でひと休み。
あまり人が来ない場所で、密かにわたしのお気に入りスポットなんだ。
生温かい夏の夜風を浴びながら、周囲の中でここだけ明るくて光が浮かび上がっているようなグラウンドをボーっと見る。

チカッ――

そんな時、私の洋服がグラウンドの光と同じように光った。
……いや違う、黄色のようなオレンジのような光が私に当たっているんだ。

「え……?」

その光がどんどん大きくなってきて不思議に思っていると、目の前に予想外の人が現れた。

「早川くん……?」

驚く私とは対照的に、無表情で近づいてくる。いや、ちょっと悪だくみを企てていそうな悪い微笑みの顔。
その手には懐中電灯。
なるほど、さっきの光の正体はこれか……そしてそれに驚いた私を見て満足そうに微笑んでいるのか……ちょっと悔しい。

光を当てることに満足したのか、早川くんは懐中電灯の電源を切って、1人分のスペースを空けて隣に座った。

「風邪っぴきが何してんの」
「なっ!も、もう治ったし!」
「ふーん」

早川くんの小学校と、ここは駅を挟んで反対側。だから、まさか今日来ているなんて思わなかった。

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