地元なじみ。
赤レンガ倉庫手前にある広場のようなエリアで人の流れが止まり、進めなくなる。
どうやらこれより前はもう人でいっぱいのようだ。
「どうする?ここでいい?」
「ここにしようよ。さっきの道ももう規制入って引き返せないし、今から移動は厳しいだろうし」
「座って見ることになりそうだけど平気?」
このエリアも半分くらいはすでに人が埋まっていて、みんな座っている。
「平気なんだけど、シート持ってきてないや。まあそのまま座ってもいい……」
「それはある」
早川くんはバッグからレジャーシートを取り出し、その場に広げた。
今の状況にピッタリなござ風のものだ。
「小さめで申し訳ないけど」
「いやいや、ありがとうだよ!すごいね、準備いいね」
「……妹に持って行けって押しつけられた」
妹さんのアドバイスが役立ったことで、また不服そうにしている。
やっぱり仲良しだ。こんな早川くんも可愛いな。
お礼を伝えて、2人でシートに座る。
確かに小さめのシートなので、2人の距離が近い。
肩が触れるか触れないかの距離に、鼓動が速くなる。
付き合い始めて、手を繋いだり触れたりもしているけれど、こうして近づけばやっぱりドキドキする。
「そいえばさ、藤沢の……お父さんはその……」
座って花火大会の開始を待ちながら、早川くんが言いづらそうに切り出す。
言いたいことは何となくわかるので、意図を汲み取って答える。
「普通に知ってるよ。今日も、行ってらっしゃいって感じで」
「え、そうなの」
「我が親ながら緩いよね」
「何も言われてないの?」
「遅くなるなら送ってもらえよ、くらいかな」
そう言ってしまった後に、ハッとする。
送って欲しいと言っているみたいだったかなと、慌てて「駅まででいいからね!」と否定する。
早川くんに余計な気を遣わせたくない。
遅くなれば早川くんだって危ないし、普段だって断っても例の交差点まで来てくれる。
十分すぎるくらい、大切にしてもらっている。
「いや、今日は普通に家まで送るつもりでいたけど……」
その言葉に、さっきまでの想いとは矛盾しているのに、また嬉しくなってしまう。
けれど、早川くんは少し考え込んでいるようで。
「送らなくて大丈夫だよ?」
「あ、いや。そうじゃなくて」
「?」
「……挨拶、した方がいいのかなって」
「へ?」
「さすがに、家の前まで行って何も言わずに帰るって……しかも藤沢の親も知ってるならなおさら」
「いやいやいや!いいよ、全然大丈夫」
まさかの発言にビックリ。
絶対そういう挨拶とか苦手なタイプなのに。
それでも挨拶するという発想が出てくるほど、真剣に考えていてくれることに心が温かくなってくる。
「ふふっ、ありがとう。けど本当に大丈夫だよ」
「でも」
「お母さんたちもね、見守っていてくれてるけど、会うのはもう少ししたらね、とは言ってるんだ」
「え?」
「この人だって決まったら連れてきてって。今後万が一、相手が変わった時に比べたくないからって。お母さんの経験談らしいけど」
お母さんはそんな何人も連れて行ったのか……と気になりつつ。
まあ、私はずっと早川くんといるつもりだから、比べることなんて起こらないわけで。
私としてはもう今すぐ紹介してもいいのだけれど。
「藤沢、そ……」
ヒュルルルー……ドォン!――
会話を遮るように、少し先の方で花火が打ちあがる音がした。
その直後、大きい綺麗な花火が夜空に咲いた。
「わあ……始まったね」
「あ、ああ……」
拍手と歓声に包まれて、花火大会がスタートした。
どうやらこれより前はもう人でいっぱいのようだ。
「どうする?ここでいい?」
「ここにしようよ。さっきの道ももう規制入って引き返せないし、今から移動は厳しいだろうし」
「座って見ることになりそうだけど平気?」
このエリアも半分くらいはすでに人が埋まっていて、みんな座っている。
「平気なんだけど、シート持ってきてないや。まあそのまま座ってもいい……」
「それはある」
早川くんはバッグからレジャーシートを取り出し、その場に広げた。
今の状況にピッタリなござ風のものだ。
「小さめで申し訳ないけど」
「いやいや、ありがとうだよ!すごいね、準備いいね」
「……妹に持って行けって押しつけられた」
妹さんのアドバイスが役立ったことで、また不服そうにしている。
やっぱり仲良しだ。こんな早川くんも可愛いな。
お礼を伝えて、2人でシートに座る。
確かに小さめのシートなので、2人の距離が近い。
肩が触れるか触れないかの距離に、鼓動が速くなる。
付き合い始めて、手を繋いだり触れたりもしているけれど、こうして近づけばやっぱりドキドキする。
「そいえばさ、藤沢の……お父さんはその……」
座って花火大会の開始を待ちながら、早川くんが言いづらそうに切り出す。
言いたいことは何となくわかるので、意図を汲み取って答える。
「普通に知ってるよ。今日も、行ってらっしゃいって感じで」
「え、そうなの」
「我が親ながら緩いよね」
「何も言われてないの?」
「遅くなるなら送ってもらえよ、くらいかな」
そう言ってしまった後に、ハッとする。
送って欲しいと言っているみたいだったかなと、慌てて「駅まででいいからね!」と否定する。
早川くんに余計な気を遣わせたくない。
遅くなれば早川くんだって危ないし、普段だって断っても例の交差点まで来てくれる。
十分すぎるくらい、大切にしてもらっている。
「いや、今日は普通に家まで送るつもりでいたけど……」
その言葉に、さっきまでの想いとは矛盾しているのに、また嬉しくなってしまう。
けれど、早川くんは少し考え込んでいるようで。
「送らなくて大丈夫だよ?」
「あ、いや。そうじゃなくて」
「?」
「……挨拶、した方がいいのかなって」
「へ?」
「さすがに、家の前まで行って何も言わずに帰るって……しかも藤沢の親も知ってるならなおさら」
「いやいやいや!いいよ、全然大丈夫」
まさかの発言にビックリ。
絶対そういう挨拶とか苦手なタイプなのに。
それでも挨拶するという発想が出てくるほど、真剣に考えていてくれることに心が温かくなってくる。
「ふふっ、ありがとう。けど本当に大丈夫だよ」
「でも」
「お母さんたちもね、見守っていてくれてるけど、会うのはもう少ししたらね、とは言ってるんだ」
「え?」
「この人だって決まったら連れてきてって。今後万が一、相手が変わった時に比べたくないからって。お母さんの経験談らしいけど」
お母さんはそんな何人も連れて行ったのか……と気になりつつ。
まあ、私はずっと早川くんといるつもりだから、比べることなんて起こらないわけで。
私としてはもう今すぐ紹介してもいいのだけれど。
「藤沢、そ……」
ヒュルルルー……ドォン!――
会話を遮るように、少し先の方で花火が打ちあがる音がした。
その直後、大きい綺麗な花火が夜空に咲いた。
「わあ……始まったね」
「あ、ああ……」
拍手と歓声に包まれて、花火大会がスタートした。