地元なじみ。
中2*クリスマス
すっかり寒くなり吐く息が白くなり始める――中学2年生のクリスマスイブ。

私の地元でも小規模ではあるけれど、駅前はイルミネーションで華やかになっている。
小学生の頃はプレゼントをもらえる日くらいの認識だったクリスマスイブだけれど、好きな人ができると見える風景も一変する不思議。
とはいえ、特に何か約束があるわけでもなく。

「さみー」
「ね、急いで塾向かおう」

それどころか、冬休み明けはまたテストなので、対策プリントをもらいつつ自習しようと、佐藤くんと2人で塾へ向かっている。
午前で終わった部活の後そのまま来たので、今は2人だけど塾には梓ちゃんがいるはずだ。

今ではこうやって普通に2人で歩ける関係になれた佐藤くんの器の大きさには感謝しかない。
歩いていると、前方から知っている顔の団体が向かってくる。

早川くんたちと……美玲ちゃん。

「わ~あかりちゃん!佐藤くんも!」
「美玲ちゃん……」
「え、え、あかりちゃんたち2人?」
「あ、うん。部活終わ……」
「え~!今日2人でいるってことはさっ、もしかして、つき……」
「藤沢、部活帰り?」
「あ、うん」

テンションが高い美玲ちゃんを遮るように、声をかけてくれる平塚くん。
多分、色々と気遣ってくれたのかな。さすがだな……ありがとう。

美玲ちゃんの他に数人の男女と、平塚くん、三島くん、そして早川くんもいる。まるで遊園地の時の再来だ。

……違うのは、こちらは佐藤くんと2人ってことと、今日がクリスマスイブってこと。

「私たちはね~これからカラオケ行くんだぁ~クリスマスパーティー的な感じなの!」
「そうなんだ、いいね。楽しそう」

大丈夫かな、ちゃんと笑えてるよね、私。

地元が一緒だと、こういう時に限って遭遇してしまうんだな……
会いたいって思う時には会わないのに。

「あ、じゃあそろそろ行くね。カラオケ楽しんできてね」

どんどん黒い感情が出てきてしまう自分が嫌で、早くここから逃げ出したい。

張り付けた笑顔でバイバイをし、また塾へ向かって歩き始める。
やっぱり早川くんの方を見ることはできなかった。
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