御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
 蓮さんがシフォン素材の袖をさらりと撫でる。
 このワンピースは彼が見立ててくれたものだ。薄いブルーのワンピースで、靴や鞄もワンピースに合うようにベージュで揃えてくれている。
 アクセサリーまで用意されていて、家を出る直前にネックレスや追加の指輪まで渡された。

「あの、これ、すごく高いものなのでは……?」

 素人目から見ても高価な物であることは一目でわかって、突き返そうとする。
 だけど、蓮さんは頑なに身につけていけの一点張りだった。

「わかりました。つけていきます……。だけど、もし落としてしまっても怒らないでくださいね……?」

 特にイヤリングは気付かないうちに落としそうで怖い。
 指輪についている大きなダイヤの石も、どこかに引っ掛けて落としそうで怖かった。

「怒らないよ。もしなくしたら、また別のを買うから」
「それはダメです!」
「なら、なくさないように気を付けて」

 そんなふうに釘を刺されてしまっては、何がなんでも紛失できない。
 そのせいで、両耳ばかりに意識が向く。つい、落としてないか指で触ってしまった。

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