勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜
 私が父の会社に就職したのは、純粋に彼を尊敬して、私も同じ仕事をしてみたいと思ったから。

八影(やかげ)〟という苗字から社長令嬢だということはすぐバレてしまったけれど、それに甘えず自分の力で仕事をこなしている。どうせコネだろうと陰口を叩かれても、ちゃんと認めてくれる人はいるからそこまで気にしていない。

 スペックのせいで色眼鏡で見られるのは日常茶飯事だけれど、私の見た目で性格を誤解されることも多い。

 周りでは『ストレートロングの黒髪と、あふれ出る品のよさがまさにお嬢様』と言われていると美桜から聞いたが、それは上辺でしかない。

 昔の私は、超絶クールな父に似て愛想がよくなかった。母から『どんなときも笑顔でいた方が人生得よ』と言われ、社会人になってからは誰かに話しかけられたらとにかく微笑むのが癖になったものの。気を抜くと無表情になってしまう。

 大きなリアクションはしないし、話し方もゆったりしている。初恋の男子に『長い髪似合うね』と言われた影響で、ショートやボブにはしたことがない。

 おかげで〝おしとやかな大和撫子〟というイメージを持たれることが多いのだが、実際の私はそんなに素敵な女性ではない。それをよく理解しているのが、この美桜なのだ。

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