腹黒王子の愛は、激甘でした。
32話 一難去ってまた一難
あの日の放課後から数日。
私はいつも通り、教室で明日華と並んで授業を受けていた。
「……でさ、この問題さっきの応用なんだけどさ〜」
「え、ちょっと待って!?全然分かんないんだけど!」
明日華が教科書を指さしながら説明してくれる。
その様子に、私は思わずくすっと笑った。
(……なんだか、いつも通りだなぁ)
あの時、颯汰先輩とちゃんと話すって決めたのに。
結局まだ、何も伝えられていない。
けれど不思議と、前みたいに避けることはなくなっていた。
廊下ですれ違えば軽く挨拶をして、
目が合えば少しだけ笑い合う。
——それだけ。
それ以上でも、それ以下でもない距離。
(でも……それでいいのかな)
ノートに視線を落としながら、ぼんやり考える。
前よりも近くなった気がするのに、
肝心なところにはまだ触れられていない。
「優?聞いてる?」
「え!?あ、ごめん!」
明日華の声で我に返る。
「もしかしてまた考え事してたでしょ〜?」
ニヤニヤしながら覗き込んでくる明日華に、私は慌てて首を振った。
「ち、違うよ!」
「ほんとに〜?最近なんか怪しいんだけど〜?」
(うっ……鋭い……)
思わず言葉に詰まると、明日華は楽しそうに笑った。
「まぁいいけど!はい、ここ解き方ね!」
そう言ってまた問題の説明を再開する。
その明るさに救われるような気持ちになりながら、私はペンを動かした。
——キーンコーン、カーンコーン。
授業終了のチャイムが鳴る。
「はぁ〜やっと終わった〜!」
明日華は大きく伸びをした。
「ねぇ優、知ってる?もうすぐテストだよ?」
「……え?」
一瞬、思考が止まる。
「来週から中間テストでしょ?」
「え、ちょっと待ってそれ初耳なんだけど!?」
「いやいや前から言われてたって!」
明日華は呆れたように笑う。
(うそでしょ……全然頭に入ってなかった……)
最近ずっと、颯汰先輩のことばっかり考えてて、
正直それどころじゃなかった。
「やばい……全然勉強してない……」
「でしょ〜?だから今日から一緒に勉強しよ!」
明日華がぐっと拳を握る。
「え、今日から!?」
「当たり前!今回の範囲広いんだからね!」
その言葉に、私はがくっと肩を落とした。
(恋愛どころじゃなくなってきたかも……)
そんなことを思いながら教科書を片付けていると、
ふと廊下の方がざわついているのに気がついた。
何気なくそちらを見ると——
そこには、颯汰先輩の姿があった。
誰かに呼ばれたのか、足を止めて話している。
相変わらず周りには人がいて、
その中心で自然に笑っている姿が目に入る。
(……やっぱり、すごいなぁ)
遠くから見てるだけなのに、胸が少しだけ締めつけられる。
でも——
(ちゃんと話すって、決めたんだから)
私は小さく息を吸った。
焦らなくていい。
逃げないって決めたから。
ちゃんと、自分の気持ちと向き合ってから。
「優〜?帰るよ〜?」
「あ、うん!」
明日華に呼ばれて、私は慌てて立ち上がる。
教室を出るとき、もう一度だけ颯汰先輩の方を見た。
ちょうど目が合って、ほんの一瞬だけ微笑み合う。
それだけで、また心臓がうるさくなる。
(……ほんと、単純だな私)
苦笑しながらも、
その感情を大事にしたいと思った。
恋も、テストも。
どっちもちゃんと向き合わなきゃ。
そんなことを思いながら、
私は明日華と並んで、いつも通りの帰り道を歩き出した。
私はいつも通り、教室で明日華と並んで授業を受けていた。
「……でさ、この問題さっきの応用なんだけどさ〜」
「え、ちょっと待って!?全然分かんないんだけど!」
明日華が教科書を指さしながら説明してくれる。
その様子に、私は思わずくすっと笑った。
(……なんだか、いつも通りだなぁ)
あの時、颯汰先輩とちゃんと話すって決めたのに。
結局まだ、何も伝えられていない。
けれど不思議と、前みたいに避けることはなくなっていた。
廊下ですれ違えば軽く挨拶をして、
目が合えば少しだけ笑い合う。
——それだけ。
それ以上でも、それ以下でもない距離。
(でも……それでいいのかな)
ノートに視線を落としながら、ぼんやり考える。
前よりも近くなった気がするのに、
肝心なところにはまだ触れられていない。
「優?聞いてる?」
「え!?あ、ごめん!」
明日華の声で我に返る。
「もしかしてまた考え事してたでしょ〜?」
ニヤニヤしながら覗き込んでくる明日華に、私は慌てて首を振った。
「ち、違うよ!」
「ほんとに〜?最近なんか怪しいんだけど〜?」
(うっ……鋭い……)
思わず言葉に詰まると、明日華は楽しそうに笑った。
「まぁいいけど!はい、ここ解き方ね!」
そう言ってまた問題の説明を再開する。
その明るさに救われるような気持ちになりながら、私はペンを動かした。
——キーンコーン、カーンコーン。
授業終了のチャイムが鳴る。
「はぁ〜やっと終わった〜!」
明日華は大きく伸びをした。
「ねぇ優、知ってる?もうすぐテストだよ?」
「……え?」
一瞬、思考が止まる。
「来週から中間テストでしょ?」
「え、ちょっと待ってそれ初耳なんだけど!?」
「いやいや前から言われてたって!」
明日華は呆れたように笑う。
(うそでしょ……全然頭に入ってなかった……)
最近ずっと、颯汰先輩のことばっかり考えてて、
正直それどころじゃなかった。
「やばい……全然勉強してない……」
「でしょ〜?だから今日から一緒に勉強しよ!」
明日華がぐっと拳を握る。
「え、今日から!?」
「当たり前!今回の範囲広いんだからね!」
その言葉に、私はがくっと肩を落とした。
(恋愛どころじゃなくなってきたかも……)
そんなことを思いながら教科書を片付けていると、
ふと廊下の方がざわついているのに気がついた。
何気なくそちらを見ると——
そこには、颯汰先輩の姿があった。
誰かに呼ばれたのか、足を止めて話している。
相変わらず周りには人がいて、
その中心で自然に笑っている姿が目に入る。
(……やっぱり、すごいなぁ)
遠くから見てるだけなのに、胸が少しだけ締めつけられる。
でも——
(ちゃんと話すって、決めたんだから)
私は小さく息を吸った。
焦らなくていい。
逃げないって決めたから。
ちゃんと、自分の気持ちと向き合ってから。
「優〜?帰るよ〜?」
「あ、うん!」
明日華に呼ばれて、私は慌てて立ち上がる。
教室を出るとき、もう一度だけ颯汰先輩の方を見た。
ちょうど目が合って、ほんの一瞬だけ微笑み合う。
それだけで、また心臓がうるさくなる。
(……ほんと、単純だな私)
苦笑しながらも、
その感情を大事にしたいと思った。
恋も、テストも。
どっちもちゃんと向き合わなきゃ。
そんなことを思いながら、
私は明日華と並んで、いつも通りの帰り道を歩き出した。