【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
 ポロポロと大粒の涙が溢れ出し、声を押し殺して泣いていると、トントン、と肩を軽く指で突かれた。

『大丈夫?』

 ぼんやりとした視界では、どんな人が美雨に話しかけて来たのかわからなかった。

 でも、差し出されたハンカチと、柔らかく問われたことで、ますます大泣きしてしまったことを覚えている。

 泣き止むまで美雨の傍を離れず、涙を拭ってくれたのは、三年生の先輩だった。

 美雨はポツポツと、自分がショックを受けたことを話すと、その先輩は美雨の顔をじっと見つめてきて、緩やかに唇に弧を描く。

『こんなに肌が綺麗な子を地味だなんて、そいつの目が曇っているだけだから、気にしちゃダメだよ』
『……肌、ですか?』
『うん。毛穴どこ? ってくらいじゃん。ちゃんとスキンケアや三食バランスよく食べて、運動している証拠』

 まさか肌のことを褒められるとは思わず、美雨はプッと噴き出した。

『お、いい笑顔。うんうん、綺麗な子の笑顔はいいね』
『……ありがとうございます、先輩』
『そういえば、きみは一年生?』

 こくりとうなずくと、美雨を慰めていた先輩は、ポンポンと彼女の肩を叩く。

『そっか。俺は三年。名前は――』

 あのときの先輩の表情、どんな感じだったかを思い出せそうで思い出せない。

 あの日、美雨を助けてくれた二つ年上の先輩。

 どうして今、こんな夢を見ているのだろう――……?
< 2 / 91 >

この作品をシェア

pagetop