【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!

最悪の目覚め

 ジリリリ! と目覚まし時計がけたたましく鳴り、ベッドから腕を伸ばして時計のてっぺんを叩く。

(……中学のときの夢を見るなんて、最悪な目覚めね……)

 むくりと起き上がり、美雨は髪をかきあげた。

 彼女の肩甲骨までまっすぐ伸びている黒髪がさらりと流れた。少し吊り目である濃い茶色の瞳を伏せ、一度まぶたを伏せる。

 それからすぐにはぁ、と小さくため息を吐いて、天井を仰ぐ。

(あの記憶は、思い出すと切なくなるのよね……)

 慰めてくれた先輩のことを思い浮かべようとして、どんな顔や声だったのかもう思い出せないことに気づいた。

(もう何年も前のことだもの、仕方ないか)

 クラスの人気者に抱いていたほのかな恋心は、その先輩に移った。

 だが、先輩はその後すぐ、家庭の事情で引っ越したと噂で聞いたため、あっという間に失恋。

 このことを合わせて思い出すため、あまり見たくない夢だった。

 それに、今現在の美雨の状況があまりよろしくないことも加わり、朝から気分が重い。

(朝ご飯の準備しよう……)
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