【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


 * * *

 そしてついにその日が来た。

 義兄の家を訪れたのは、赤ちゃんが生まれたという連絡を受けてから四ヶ月後だった。

 出産祝いは先に送ったが、挨拶をするのなら落ち着いた頃がいいだろうと一希と話し合い、赤ちゃんの首がすわってからの訪問にしようと結論を出した。

 義兄と義姉は快く美雨たちを招き入れ、赤ちゃんの顔を見ながら会話が弾んでいる。

 初めて会った義姉は、確かに派手な人だった。派手というよりも華やかな人、がぴったりだと感じたが、育児で苦労しているのか疲れているようにも感じた。

「かわいいですね」
「無事に産まれてくれてよかったわぁ! よく飲んでよく寝る子なの」

 ふにゃふにゃとした笑顔を眺めながら、美雨が義姉に伝えると彼女はパッと目を輝かせた。

「……本当にかわいいなぁ。うちの子って天使なんじゃ……?」
「早速親バカになってるよ、兄さん」
「ふふっ。それだけ愛しているのよ、私たちを」

 自信たっぷりに胸を張る義姉を、美雨はまぶしそうに目を細めて見つめる。

 幸せな家庭、という言葉がピッタリだ。

 こんな家庭で育つ子なら、きっとたくさんの愛を注がれるだろう。

 長時間滞在するのも悪いので、お茶を一杯飲んでから早々に立ち去った。

 帰り道、手を繋いだ美雨と一希は、いろいろな他愛のないことを話していた。

「赤ちゃん、かわいかったね」
「うん、それにみんな幸せそうだった」

 あの家庭で育つのなら、どんな子になるのだろうと想像を巡らせる。

(いつか、私にも赤ちゃんが来てくれるのかな? どんな子になるのかな?)

 そっと自分の下腹部に手を添えると、一希が前を向いたまま言葉をこぼした。

「俺らの子は、どんな子かなぁ」

 同じことを考えていたことに驚いて、一希を見上げる。すると、彼も美雨に顔を向け、ふわっと微笑んだ。

「……一希さん、私……あなたが好きです。愛しています」

 その笑顔を見たら胸がキュンと高鳴って、気持ちが溢れてしまった。

 一希は一瞬目を大きく見開き、それからぎゅっと美雨を抱きしめて「愛してる」と耳元でささやく。

 ずっとこんなふうにいられたらいいな、と美雨は一希の背中に手を回した。

 これから先の未来を、ずっと。
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