受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~
 エレベーターが上へ、上へと進む。
 数字が増えるたび、胸の奥がざわつく。
 部屋の扉が開いた瞬間、息を呑んだ。

 ガラス張りのリビング。
 視界いっぱいに広がる、東京のビル群。

  「……すごい」

 思わず声が漏れる。

  「こっちです」

 西条はそう言って、
 部屋の隅を指さした。
 そこにいたのは、
 写真で見た通りの猫、マルちゃん。
 丸くなってこちらを見上げている。

 私は靴をそそくさ脱いで、
 そっと近づいた。

  「……かわいい」

 指先で、そっと撫でる。
 マルは嫌がる様子もなく、喉を鳴らした。

 その様子を、西条は少し離れたところから、
 静かに見ていた。

 紅茶を淹れてくれて、
 気づけば、時間はあっという間に過ぎていた。
 仕事の話。
 猫の話。
 とりとめのない会話。
 窓の外が、いつの間にか夜の色に変わっている。

  「……そろそろ、帰らないと」

 そう言うと、
 西条は少しだけ間を置いて答えた。

  「また、来てください」

 立ち上がった瞬間、ふいに手が触れた。

 そのまま、引き寄せられる。

 近い。
 逃げる暇もないほど。

 唇が、そっと重なる。
 何も考えられなくなって、
 ただ、
 体の奥が熱くなるのを感じていた。

 窓の外では、東京の夜景が、
 やけに静かに輝いていた。
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