受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~
 その少し前。
 社長室で、
 西条は人事資料に目を通していた。

 淡々と並ぶ名前の中で、
 ひとつの文字に視線が止まる。

 森川 真菜
 受付業務、配置転換予定。
 西条は、書類を閉じ、内線を取った。

  「人事部長を呼んでください」

 ほどなくして、人事部長が現れる。

  「受付の森川さんですが」

 西条は、資料に目を落としたまま言った。

  「どこに配属になる予定ですか。
   彼女、よくやっているように
   見えましたが」

 人事部長は少し驚いた表情を見せる。

  「はい。新人が入りますので、
   いったん総務課へ戻すと
   聞いております」

  「そうですか」

 西条は続けた。

  「すまないが、
   秘書課の人員を増やしたいので、
   森川を、
   こちらに回してもらえませんか」

 即答ではなかったが、迷いもなかった。

  「……承知しました。
   そのように、指示いたします」

 短いやり取りだった。
 理由は、特に説明されなかった。
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