受付嬢なのに、清掃員から一途に溺愛されています ~タワマン最上階で猫と過ごす、秘密の恋~
 前任者は寿退職。

 その引き継ぎを、
 この一ヶ月ずっと続けてきた。

 ――寿退職か。いいな。

 心の中でそう呟いて、苦笑する。
 羨ましいというより、
 どこか遠い世界の話みたいだった。

 時計を見ると、始業まであと少し。
 そのタイミングで、オフィスの扉が開き、
 社員たちが続々と入ってくる。

 私は慌てて立ち上がり、背筋を伸ばした。

  「おはようございます」

 少しだけ声を張ると、
 何人かがこちらを見て、
 軽く手を上げたり、
 同じ言葉を返してくれる。

 そのやり取りだけで、
 今日も一日が始まるのだと、
 自然に気持ちが切り替わった。
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