八年執着されましたが、幸せです ~傷心のホテリエですが、イケメン御曹司と契約恋人になりました~
[初めまして。私はグレース・パーカー。彼の大学の後輩で、先にスキップして卒業した者です]
[グレース・パーカー……]
スカーレットは彼女を知っているのか、グレースへの認識を改めたようだった。
グレースは現在日本で事業を展開しているが、起業をするにあたっての資金は、すべて投資で稼いだ。
大学の経済学部で優秀な成績を残した彼女は、今はSNSで有名な投資家となっている。
彼女の投資テクニックを学ぶため、フォロワーは数十万人にも及ぶ。
エキセントリックな発言もするためにアンチもいるが、圧倒的に支持者のほうが多い。
俺は〝予定通り〟登場した彼女が繰り広げる寸劇に期待し、微かに笑ったまま壁際に控えていた。
このためにスタッフには『今日、グレース・パーカー様という投資家が、ビジネスの話のためにターナー様を訪れるから、お通ししてくれ』と伝えてあった。
グレースは堂々とソファに座り、脚を組む。
[私は有名人だし美しい。機転も利くし魅力的だわ。だから大学在学中も、様々な人からお誘いを受けたの。……勿論、ウィルにも]
その言葉を聞いてウィリアムは血相を変え、スカーレットは朱唇を噛む。
[彼は私が卒業しても、アプローチを止めなかった。私は何度もハッキリ断ったのに、しつこく迫ってくるの。『俺に手には入らないものはない』と豪語していたから、勘違いしたのかしらね?]
スカーレットは目の下をヒクつかせている。
[卒業後に資金を貯めた私は、日本に住まいを移したわ。そこで新生活を送ろうと思ったのに、常にウィルが雇った探偵がうろつき回り、私の行動を監視してきた。私は旧知の仲である彼……、神楽坂暁人氏に偽りの夫役を頼み、誤魔化そうとした。……でも今回、ウィルは婚約者を連れて表向きビジネスとして訪日した。……スカーレットさんの事を、SNSの裏アカウントでは『妥当な相手』と言っていたのに、見せびらかすように商談の場にも連れてくるものだから、笑っちゃうわね。……その裏で、日本で私にコンタクトを取り、最後にプロポーズできないか試みてるんだから、本当にバカみたい]
立ち尽くしたスカーレットは、真実を聞かされて真っ赤になって怒っている。
[ウィル! 結局はあなたが浮気を繰り返しているんじゃない! 日本について行きたいと言った時に渋ったのは、この女に会うつもりだったからなのね!? 私はマーティンからあなたの日本行きを聞くまで何も知らなかった。私に言われるまで、日本に行く事を秘密にしておくつもりだったんでしょう!]
スカーレットはヒステリックに叫び、身振り手振りでウィリアムを責める。
[そうやってすぐ感情的になるところが嫌いなんだ! お前は顔がいいしジャクソンホールディングスの令嬢だから、結婚相手に相応しいと思ったが、束縛が強すぎるし我が儘すぎる!]
[婚約者の浮気を疑うのが束縛なの!? あなたはいつも女性とレストランやバーに行ってたじゃない! 友達だっていうから放っておいたけど、ずーっと我慢してきたのよ! なのに……っ]
スカーレットの声が、涙で崩れる。
[マーティンから聞いたわ。『兄さんは色んな女性と関係して不誠実だから、結婚を考え直した方がいい』って。でもあなたを信じた! 好きだったからよ! でも日本に来てヨシノという女を見つけて、嫌な予感がしたわ。……でもそうじゃない。あなたの〝本命〟は別の女性だった! ~~~~この女ったらし!!]
スカーレットは叩きつけるように言い、ウィリアムにビンタをした。
そして荒々しく部屋の奥へ行くと、荷物を纏め始める。
[レティ、どこへ行くつもりだ!?]
[帰国するわ! そしてパパに婚約解消したって言うの! 融資の話もなし! あなたとはもう金輪際関わらないから、どこででも好きな女といちゃついて!]
ウィリアムは呆然としたまま立ち尽くし、絶望した顔でグレースを見る。
[あなたはとても不誠実だし異常よ。私にフラれた現実を受け入れられず、自分に服従させたい想いから、何年も執着し続けた。ネットでも沢山誹謗中傷してくれて、ありがとう。全部証拠をとってあるわ。……一途に想うならまだしも、あなたは片手間に大勢の女性を口説き、関係し続けた。この書類にはその証拠が書かれてあるわ。不誠実な事をしても、自分みたいに〝特別〟な人なら許されると思っている? 女は全員、あなたの言う事を聞く奴隷じゃないのよ。女、舐めんな]
最後にグレースは手で、言葉では言えないジェスチャーをする。
[僕は……。ただ君が好きなだけなのに……]
奇しくも、ウィリアムは芳乃と同じセリフを吐く。
だが彼と芳乃とでは、想いもやっている事もまったく違う。
[言っておくけど、あなたのそれは恋じゃないわ。生まれて初めて、思い通りにいかない相手と出会ったから手に入れたくなっただけ。子供の我が儘ね。いい加減おしゃぶりを手放したら?]
辛辣に言ったあと、グレースは立ち上がった。
[グレース・パーカー……]
スカーレットは彼女を知っているのか、グレースへの認識を改めたようだった。
グレースは現在日本で事業を展開しているが、起業をするにあたっての資金は、すべて投資で稼いだ。
大学の経済学部で優秀な成績を残した彼女は、今はSNSで有名な投資家となっている。
彼女の投資テクニックを学ぶため、フォロワーは数十万人にも及ぶ。
エキセントリックな発言もするためにアンチもいるが、圧倒的に支持者のほうが多い。
俺は〝予定通り〟登場した彼女が繰り広げる寸劇に期待し、微かに笑ったまま壁際に控えていた。
このためにスタッフには『今日、グレース・パーカー様という投資家が、ビジネスの話のためにターナー様を訪れるから、お通ししてくれ』と伝えてあった。
グレースは堂々とソファに座り、脚を組む。
[私は有名人だし美しい。機転も利くし魅力的だわ。だから大学在学中も、様々な人からお誘いを受けたの。……勿論、ウィルにも]
その言葉を聞いてウィリアムは血相を変え、スカーレットは朱唇を噛む。
[彼は私が卒業しても、アプローチを止めなかった。私は何度もハッキリ断ったのに、しつこく迫ってくるの。『俺に手には入らないものはない』と豪語していたから、勘違いしたのかしらね?]
スカーレットは目の下をヒクつかせている。
[卒業後に資金を貯めた私は、日本に住まいを移したわ。そこで新生活を送ろうと思ったのに、常にウィルが雇った探偵がうろつき回り、私の行動を監視してきた。私は旧知の仲である彼……、神楽坂暁人氏に偽りの夫役を頼み、誤魔化そうとした。……でも今回、ウィルは婚約者を連れて表向きビジネスとして訪日した。……スカーレットさんの事を、SNSの裏アカウントでは『妥当な相手』と言っていたのに、見せびらかすように商談の場にも連れてくるものだから、笑っちゃうわね。……その裏で、日本で私にコンタクトを取り、最後にプロポーズできないか試みてるんだから、本当にバカみたい]
立ち尽くしたスカーレットは、真実を聞かされて真っ赤になって怒っている。
[ウィル! 結局はあなたが浮気を繰り返しているんじゃない! 日本について行きたいと言った時に渋ったのは、この女に会うつもりだったからなのね!? 私はマーティンからあなたの日本行きを聞くまで何も知らなかった。私に言われるまで、日本に行く事を秘密にしておくつもりだったんでしょう!]
スカーレットはヒステリックに叫び、身振り手振りでウィリアムを責める。
[そうやってすぐ感情的になるところが嫌いなんだ! お前は顔がいいしジャクソンホールディングスの令嬢だから、結婚相手に相応しいと思ったが、束縛が強すぎるし我が儘すぎる!]
[婚約者の浮気を疑うのが束縛なの!? あなたはいつも女性とレストランやバーに行ってたじゃない! 友達だっていうから放っておいたけど、ずーっと我慢してきたのよ! なのに……っ]
スカーレットの声が、涙で崩れる。
[マーティンから聞いたわ。『兄さんは色んな女性と関係して不誠実だから、結婚を考え直した方がいい』って。でもあなたを信じた! 好きだったからよ! でも日本に来てヨシノという女を見つけて、嫌な予感がしたわ。……でもそうじゃない。あなたの〝本命〟は別の女性だった! ~~~~この女ったらし!!]
スカーレットは叩きつけるように言い、ウィリアムにビンタをした。
そして荒々しく部屋の奥へ行くと、荷物を纏め始める。
[レティ、どこへ行くつもりだ!?]
[帰国するわ! そしてパパに婚約解消したって言うの! 融資の話もなし! あなたとはもう金輪際関わらないから、どこででも好きな女といちゃついて!]
ウィリアムは呆然としたまま立ち尽くし、絶望した顔でグレースを見る。
[あなたはとても不誠実だし異常よ。私にフラれた現実を受け入れられず、自分に服従させたい想いから、何年も執着し続けた。ネットでも沢山誹謗中傷してくれて、ありがとう。全部証拠をとってあるわ。……一途に想うならまだしも、あなたは片手間に大勢の女性を口説き、関係し続けた。この書類にはその証拠が書かれてあるわ。不誠実な事をしても、自分みたいに〝特別〟な人なら許されると思っている? 女は全員、あなたの言う事を聞く奴隷じゃないのよ。女、舐めんな]
最後にグレースは手で、言葉では言えないジェスチャーをする。
[僕は……。ただ君が好きなだけなのに……]
奇しくも、ウィリアムは芳乃と同じセリフを吐く。
だが彼と芳乃とでは、想いもやっている事もまったく違う。
[言っておくけど、あなたのそれは恋じゃないわ。生まれて初めて、思い通りにいかない相手と出会ったから手に入れたくなっただけ。子供の我が儘ね。いい加減おしゃぶりを手放したら?]
辛辣に言ったあと、グレースは立ち上がった。