八年執着されましたが、幸せです ~傷心のホテリエですが、イケメン御曹司と契約恋人になりました~
[彼は私の弁護士。あなたが暴れないようにボディガードも連れてきたわ。彼が私の代理人として〝話〟をするから、ちゃんと聞いてね?]
彼女は一緒に入ってきた男性を紹介したあと、ドアに向かう。
[最後に言っておくけど、あなたのストーカー行為や派手な女性関係を、あなたの家族、会社に知らせるわ。どれだけのゴシップになるか分からないけど、自業自得ね。それでもストーキングを続けるなら、法的な処罰を覚悟してね。それに今回の事で暁人を逆恨みしたら許さない。芳乃さんに手を出しても許さない。その辺りはしっかりと契約書を書かせるわ]
言い切ったあと、グレースは部屋を出る。
俺は呆然としているウィリアムに、一礼をして言った。
[今は冷静に考えられたほうが宜しいかと思います。何かありましたら、どうぞお申し付けください]
そう言ったあと、俺もスイートルームをあとにした。
俺は廊下を歩きながら、日本語でグレースに話しかける。
「お疲れ様」
「なんて事はないわ。ストーカーを潰せるいい機会だったもの。アメリカにいた時はまだマシだったけど、日本に来てからは自分の目が届かないものだから、探偵に尾行され、ゴミもあさられてうんざりだったわ。あなたの敵があいつでちょうど良かった。お互いに利害が一致して幸いだったわね」
「お陰様で、長年邪魔に思っていた男を排除できてスッキリしたよ。芳乃の敵討ちもできた」
そう言うと、グレースはクスクス笑う。
「あなたが一途を通り越して、病的なまでに芳乃さんを想っているのは知っていたけど、一歩間違えたらストーカーよね。NYまで人を派遣して、陰ながら見張らせていたんだから。芳乃さんが傷付いて帰国した時、本当は喜んでいたんじゃない? 彼女がこのホテルで働きたいと思ったのは偶然だけど、暁人からすれば『しめしめ』よね。……私から見れば、あなたもウィリアムも大差ないけど……。まぁ、暁人は純愛なだけまだマシなのかしらね?」
俺はケラケラ笑うグレースをジロリと睨む。
「あいつと一緒にしないでくれ」
「あら、失礼。ま、根暗な少年が心機一転、惚れた女性のために生まれ変わったのは喜ぶべき事よね。どうぞお幸せに」
彼女と一緒にエレベーターでロビー階まで下りると、フロントにいた芳乃とばっちり目が合った。
俺が彼女を見ているのに気づき、グレースはツカツカと歩いて行く。
「丁度いいから、芳乃さんに挨拶をさせて。私、ラウンジのカフェにいるわね」
「分かった」
頷いた俺は、フロントに向かった。
**
いつも通りにフロント業務を行っていた私は、エレベーターから暁人と金髪の女性が下りてきたのを目撃する。
(暁人だ。……隣にいるのは……、グレースさん?)
昨晩、暁人からウィルとレティへの〝仕置き〟を聞いて、彼が何をするのか分かっていたけれど、どうなるものかヒヤヒヤしていた。
ウィルについてはプレイボーイとは思っていたけれど、私だけじゃなくて不特定多数の女性と関係し、レティと婚約しているくせにグレースさんを想い続けていたなんて、あまりに酷くて閉口した。
(せいぜい痛い目を見ればいいのよ)
そう思っていた矢先、ロビーに暁人とグレースさんが現れたのを見て、すべて終わったのだと理解した。
グレースさんはラウンジカフェに向かい、暁人がフロントにやって来た。
「三峯さん。少しいいかな?」
「はい」
同僚を見ると、「大丈夫」というように頷いてくれた。
彼らに会釈をして暁人についていくと、ラウンジカフェでグレースが待っていた。
「……は、初めまして。三峯芳乃です」
尾行して遠くから見ていたし、暁人から話は聞いていたけれど、彼女と実際に話すのは初めてだ。
多少の決まり悪さもあるから、声が少し上ずってしまった。
「初めまして。私はグレース・パーカー。暁人の幼馴染みよ」
三十歳のグレースは、パッと見てエネルギッシュな人だと分かるし、美しい。
彼女に握手を求められて手を握ると、グレースは少し肩をすくめて言った。
「芳乃さんには迷惑を掛けてしまったわね。『それほど頻繁に暁人と会っている訳じゃないから、大丈夫かしら?』って思ったけど、恋する女性は敏感なものよね」
「い、いえ……」
ズバリと言われ、私は赤面する。
彼女は一緒に入ってきた男性を紹介したあと、ドアに向かう。
[最後に言っておくけど、あなたのストーカー行為や派手な女性関係を、あなたの家族、会社に知らせるわ。どれだけのゴシップになるか分からないけど、自業自得ね。それでもストーキングを続けるなら、法的な処罰を覚悟してね。それに今回の事で暁人を逆恨みしたら許さない。芳乃さんに手を出しても許さない。その辺りはしっかりと契約書を書かせるわ]
言い切ったあと、グレースは部屋を出る。
俺は呆然としているウィリアムに、一礼をして言った。
[今は冷静に考えられたほうが宜しいかと思います。何かありましたら、どうぞお申し付けください]
そう言ったあと、俺もスイートルームをあとにした。
俺は廊下を歩きながら、日本語でグレースに話しかける。
「お疲れ様」
「なんて事はないわ。ストーカーを潰せるいい機会だったもの。アメリカにいた時はまだマシだったけど、日本に来てからは自分の目が届かないものだから、探偵に尾行され、ゴミもあさられてうんざりだったわ。あなたの敵があいつでちょうど良かった。お互いに利害が一致して幸いだったわね」
「お陰様で、長年邪魔に思っていた男を排除できてスッキリしたよ。芳乃の敵討ちもできた」
そう言うと、グレースはクスクス笑う。
「あなたが一途を通り越して、病的なまでに芳乃さんを想っているのは知っていたけど、一歩間違えたらストーカーよね。NYまで人を派遣して、陰ながら見張らせていたんだから。芳乃さんが傷付いて帰国した時、本当は喜んでいたんじゃない? 彼女がこのホテルで働きたいと思ったのは偶然だけど、暁人からすれば『しめしめ』よね。……私から見れば、あなたもウィリアムも大差ないけど……。まぁ、暁人は純愛なだけまだマシなのかしらね?」
俺はケラケラ笑うグレースをジロリと睨む。
「あいつと一緒にしないでくれ」
「あら、失礼。ま、根暗な少年が心機一転、惚れた女性のために生まれ変わったのは喜ぶべき事よね。どうぞお幸せに」
彼女と一緒にエレベーターでロビー階まで下りると、フロントにいた芳乃とばっちり目が合った。
俺が彼女を見ているのに気づき、グレースはツカツカと歩いて行く。
「丁度いいから、芳乃さんに挨拶をさせて。私、ラウンジのカフェにいるわね」
「分かった」
頷いた俺は、フロントに向かった。
**
いつも通りにフロント業務を行っていた私は、エレベーターから暁人と金髪の女性が下りてきたのを目撃する。
(暁人だ。……隣にいるのは……、グレースさん?)
昨晩、暁人からウィルとレティへの〝仕置き〟を聞いて、彼が何をするのか分かっていたけれど、どうなるものかヒヤヒヤしていた。
ウィルについてはプレイボーイとは思っていたけれど、私だけじゃなくて不特定多数の女性と関係し、レティと婚約しているくせにグレースさんを想い続けていたなんて、あまりに酷くて閉口した。
(せいぜい痛い目を見ればいいのよ)
そう思っていた矢先、ロビーに暁人とグレースさんが現れたのを見て、すべて終わったのだと理解した。
グレースさんはラウンジカフェに向かい、暁人がフロントにやって来た。
「三峯さん。少しいいかな?」
「はい」
同僚を見ると、「大丈夫」というように頷いてくれた。
彼らに会釈をして暁人についていくと、ラウンジカフェでグレースが待っていた。
「……は、初めまして。三峯芳乃です」
尾行して遠くから見ていたし、暁人から話は聞いていたけれど、彼女と実際に話すのは初めてだ。
多少の決まり悪さもあるから、声が少し上ずってしまった。
「初めまして。私はグレース・パーカー。暁人の幼馴染みよ」
三十歳のグレースは、パッと見てエネルギッシュな人だと分かるし、美しい。
彼女に握手を求められて手を握ると、グレースは少し肩をすくめて言った。
「芳乃さんには迷惑を掛けてしまったわね。『それほど頻繁に暁人と会っている訳じゃないから、大丈夫かしら?』って思ったけど、恋する女性は敏感なものよね」
「い、いえ……」
ズバリと言われ、私は赤面する。