二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスは小道から逸れて草の生えた水辺まで進むと、海や川と違って波や流れのない静かな水面をじっと見つめる。
「最初の数年は……俺たちはとてもいい関係だった。俺たちというのは、つまりウィリアムと俺のことだ」
「はい」
「俺はウィリアムのために牧場での仕事をなによりも優先した。俺は喜んでなんでもした。学校での成績はそこそこで、スポーツもそれなりにこなした。ただ……牧場で生きるのは楽じゃない。どんなに努力しても、ここで働く限り、すべて中途半端で……」
ダグラスの拳がぎゅっと強く握られる。
ずっと大きい、大きいという印象しかなかった彼の背中が、急に少ししぼんだような気がした。背を屈めたからかもしれない。
「十七歳になって周りが将来の進路を決めだしたとき……俺の人生はこの牧場に縛られているんだと気づいて、遅い反抗期に入った」
「それは……わかります。きっと誰だってそうなります」
ダグラスは肩越しに乃亜を振り返った。
「君にも反抗期があったのか? 君に?」
「わたしの反抗期も遅かったですよ……ずっとバレエで反抗どころじゃなかったので……。でも十六歳のときに怪我をしてやめて、そこからしばらく」
ダグラスはまるで彼自身が怪我をしたみたいに、痛そうに顔をしかめた。
「なんの怪我だったんだ?」
「アキレス腱です。二回目だったから……さすがにもう。プロになれるかもとは言われていたけど、かといってプリマドンナになれるほどの才能ではなくて……中途半端だったので」