オンラインゲーム『ラピスラズリ』

技を伝えよ


討伐が失敗し。ゲームは続く。
大規模な攻略が話題になって、新規も増え。
ゲームの賑わいは新たな風のように。

ゲーム上位者が減り。ギルドの編成も大きく影響を受け。
対抗ギルド、大手だったところが合併や移籍を繰り返し。
メンバーの入れ替え。新規参入。目まぐるしい変化。
育成の重要性が増え、新たな奥義の獲得イベントが開催され。
慌ただしく日々は過ぎていった。

俺の奥義寄託も忘れ去られていく。
そしてついに。二周目アジュールの情報が耳に入る。
雷属性。銀色の装備で統一し、長髪の女戦士。
背後には、前回と同じモフモフのタヌキを連れていたと。
会話を試みようとしたけれど、やはりチャットは送れなかったようだ。
向こうからの連絡もない。
まさかレベルを上げているとは。
二周目に戻ってきたのはカプリチオのいる世界に身を置くため。だよな?
同じ属性なら、まだ出会うチャンスはあったのでは?
まさか自分の復讐など。
病名は分からないけれど、入院生活の中でこのゲームをしていたと。
泣いて長くないというくらいだ。
ギルドも、カプリチオとリアルで会うこともあきらめていた彼女が。何故。

カプリチオは気分でブラックリスト使うからな。
あれだけ好き勝手言いたい放題だった俺からの連絡など望んでいないだろうし。
せめて外部チャットでアジュールと会話できれば良かったのに。

対抗ギルドにも同じ情報が回ったのだろう。
個人あてのチャットにメッセージが届き。
確認すると、カプリチオからだった。
「今日、酒場で飲んで占いをする。町に招待してくれ」
なんとも素っ気ない。ギルドに炎の戦士は居るだろうに。
アジュールの話をしないのも不自然。
けれど、俺にわざわざ連絡してきたんだ。ここで不機嫌を発動されたら面倒だ。
こちらからは触れずにいよう。
「分かった。今から送るけど。まずは俺をフレンドに登録しとけ。」
送ろうとしたけどエラーが出た。
やっぱり俺をフレンド登録すらしてなかったなあいつ。
メッセージが来たからブラックリストには入っていなかった。いや、解除しただけか?
「した。送れ」
いちいち腹が立つなぁ、ほんと。
こんな奴に惚れる女なんか、リアルにいるのか?
だから優しく相手していたアジュールに夢中になったのかもしれない。


< 23 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop