難攻不落の城エターナル(オンラインゲーム恋愛)
『水の属性ガイザーへの招待状』
それを受け取り、開封すると。
足元に広がる魔法陣。水属性の青色。
流れる水の音が大きくなり、画面が切り替わるとそこは。
水属性の町ガイザー。
町中を川が流れ。風の町とは違う水音。
晴れているのに霧雨のような場所。
待ち合わせの広場には大きな池。ドーナツ型で中央がくりぬかれている。
「それ、時間が来たら吹き出すんだ。ガイザーは間欠泉だからね。」
待ち合わせの時間ピッタリ。
ここでログアウトしたのだろうか。ゲームとはいえ急に現れるとビックリする。
「ど?水属性の町は。」
「綺麗ね。そうだカプリチオ、今度は風属性の町に招待しようか?」
「いや、ギルメンに他の全属性連れて行ってもらったよ。」
その返事に、胸がモヤモヤした。
「そっか、そうだよね。」
最近、一緒に行動していたから勘違いした。
彼はギルドに所属して、沢山の仲間がいる。仲間ではない私はフレンド。
この物足りないような気持ちはなんだろうか。
「カプリチオって、名前にしたのは何故?」
「俺は“きまぐれ”なんだ、帰国子女のスカした友達がいてね。そいつの命名。ふふ……俺の事、初めて聞いてくれた。ねぇ、アジュール。君の事を教えて。」
アジュールの事。
「装備やステータスとかは、フレンドだから見えると思うんだけど。」
「違うよ、君自身の事が知りたい。俺は自分のリアルについて話して、気づいたんだ。君の事を知らない。俺の事をもっと知って欲しい。」
私自身。リアル。
そうこれはゲーム。ゲームの向こう側に、カプリチオを操作している人がいる。
顔も名前も知らない人。
「言ったよね、中身は女。主婦。子どもがいて、年齢は40代後半。」
「ふーん。子どものいる主婦は、この時間にゲームしないよ。」
「え?」
「ぷふ。嘘、してる人もいるけどさ。こんな休日の子どもが活動している時間に、ゲームしている主婦はダメな部類ですけど?」
顔が見えないのに、意地悪な口調なのがはっきり分かる。
「そうよ、私は悪い主婦なんだからね。ゲームするのよ。さ、案内して。この属性ごとのクエストを消化するんだから!」
明らかに私たちの関係が変わったのはこの時からだった。
私はゲームと恋に夢中になっていった。
それが長く続かないのを知っていたのに。