御堂先生は溺愛中
向こうから歩いてきたのは、御堂だった。
女子生徒に囲まれていた朝の姿とは違って、今はひとりで、資料を胸に抱えながらゆっくり凛の方に歩いてくる。
一歩、御堂が歩き出すたびに速くなる鼓動に、凛はパニックになりそうだった。
御堂も凛の姿に気づいたのか、ぱあっと表情を明るくして、それから満面の笑みを浮かべた。
「お疲れ様、大野さん。」
すれ違う間際、御堂に声を掛けられた凛は、声が震えるのをなんとか抑えて返した。
「お疲れ様さまでふ。」
か、噛んだ…!!!
そう認識すると凛の顔は更に真っ赤に染まった。
最悪!
なんでこんな大事なところで噛んじゃうの!?
素敵な人間からまた一歩遠のいたじゃん!!
目に涙を溜めながら足早に去る凛に、御堂の肩はぷるぷると震えていた。
大野さん、思いっきり噛んでた。
珍しい……けど可愛い。
御堂はこっそり悶えながら歩いていった。