御堂先生は溺愛中
冬休みも間近の浮き足だった教室で、凛は1人考え事をしていた。
お母さんと塾の見学に行って、冬季講習を受けるところは決まった。
英語だけだけど、毎日50分の授業が2回あるみたいで、遊ぶ時間なんてほとんどないんだ、と凛1人険しい顔をしていた。
「はい、席についてね。」
ぼーっとしていたところに、突然御堂の声が入ってきて、凛は急に姿勢を正した。
そうだった、今日は英語のテストの返却だった。
それに…今日が2学期最後の御堂先生の授業だ。
寂しい気持ちを抱えながら、凛はまっすぐ黒板を見つめた。
「じゃあテストを返却するので、名前を呼ばれた人からとりにきてください。」
御堂はそう言うと、出席番号順に名前を呼んだ。
「大野さん。」
久しぶりに御堂の柔らかい声で呼ばれたその名前に、凛はドキドキしながらも席から立ち上がった。
「はい。」
差し出されるそれを御堂から受け取ると、凛は小さな声で「ありがとうございます。」と返した。
それから足早に席へ戻ると、早速その答案用紙を見た。
点数は平均点よりギリギリ上くらいで、凛はホッと胸を撫で下ろした。
それから右隅に書いてある文字に気づくと、視線をそちらに映した。