いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
プロローグ
「八重さぁ、何でそんなに恋人欲しいの?」
「え....」
もうすぐ25歳になる私・宮島 八重と、先日27歳を迎えた彼・大狼 一生は、小学校からの腐れ縁。
お互い社会人となった現在では、到底釣り合わないほど高みに登っていった幼馴染は不機嫌に眉を寄せ、こちらを一瞥した。
パーティに相応しい質のいいスーツに身を包んだ彼は、確かに昔から知る幼馴染のはずなのに、まるで別人に見えて腰が引ける。
元から綺麗な顔立ちに、ほどよく筋肉のついた185センチの長身と、他を圧倒する容姿をしているのだ。服装まで整い、おまけに、エリート外科医という職業まで加われば、《《見た目だけ》》とフラれ続ける自分とは住む世界が違うと感じてもおかしくはないだろう。
「だからー、何でそんなに恋がしたいんだよ」
かたまったまま何も答えない私に、痺れを切らして訊いてくる。
「それ、は.....」
(....何て答えよう)
ちらりと、現実逃避のために視線を右に滑らせた。
二人を取り巻くチリチリとした空気と対照的に、先ほどまで居たホールからは、陽気な音楽や雰囲気が伝わってくる。
本当なら今もホールの中で、楽しげな皆に紛れて、出会いを探していたはずだったのに。ドアから離れたこんなロビーの片隅で、幼馴染に詰問されている光景など想像もしていなかった。
そもそも、いま何故、彼は怒っているのか。
(....私、何かした?)
内心、恨めしくなって、再び目の前の一生を見る。
自分の答えを待つその姿勢に、逃れることなど不可能だと悟って、仕方なく思いつく理由を口にした。
「それは...私もそろそろ25歳だし?結婚のこと考えたら、もう相手見つけとかないとヤバいかなって」
言葉にしたらひどく安っぽくて、言い訳がましく聞こえる。ズクリと胸が疼いた。
「...ふぅん。25歳だからお前の外見しか見ない奴らを結婚相手の候補にしちゃうわけ?...だからいつもうまくいかないんだよ」
吐き捨てるように言う一生に、ついにプチンと頭の中で音がした。
「な、なによ~!?そんな言い方ないでしょ?もしかしたら、どこかに外見だけじゃなく中身まで見てくれる王子様がいるかもしれないじゃない!」
思わずこぼれ出る願望。さっき疼いた胸が、ツキンツキンと明確な痛みに変わった。
一生は呆れた様子で、ため息を漏らす。
「王子様、ね。一体この世のどこに、その王子様とやらはいるんだよ。...そろそろ、目の前の現実見たら?」
「....はいはい、わかってますよ~。こんな私が王子様と出会えるわけないって言うんでしょ」
きつい言葉に、表情を取り繕ってどうにか気丈に振る舞う。
悔しい。彼は、いつもそうだ。普段優しいくせに、恋愛関係になると、途端に口うるさくなって、いつもなら考えられないような言葉を投げかけてくる。まぁ、懲りもせず似た恋愛を繰り返しては愚痴を吐く私を迷惑に思うのはわからなくもないが。そこまで言わなくたっていいではないか。唇をツンと突き出した。
「...そうじゃなくて。あー、もう、お前鈍すぎ」
と、短い黒髪をわしゃわしゃと乱して、彼が口調を強めたことに、首を傾げる。
「え?」
「....だから。どこにいるかもわからない王子様を探すのなんてやめて、現実に目向けろって。その大きくて綺麗な目、ちょっとは活用しろよな?お前のすぐそばに、めちゃくちゃ《《優良物件》》が転がってんだろうが!」
「....え、え、え?」
ポカンと口が開いた。
褒められたと感じた言葉通り、目を見開いてよーく見たら....
そこには、カァッと顔を真っ赤にした一生が真剣な眼差しを私に向けて立っていたーー。
「え....」
もうすぐ25歳になる私・宮島 八重と、先日27歳を迎えた彼・大狼 一生は、小学校からの腐れ縁。
お互い社会人となった現在では、到底釣り合わないほど高みに登っていった幼馴染は不機嫌に眉を寄せ、こちらを一瞥した。
パーティに相応しい質のいいスーツに身を包んだ彼は、確かに昔から知る幼馴染のはずなのに、まるで別人に見えて腰が引ける。
元から綺麗な顔立ちに、ほどよく筋肉のついた185センチの長身と、他を圧倒する容姿をしているのだ。服装まで整い、おまけに、エリート外科医という職業まで加われば、《《見た目だけ》》とフラれ続ける自分とは住む世界が違うと感じてもおかしくはないだろう。
「だからー、何でそんなに恋がしたいんだよ」
かたまったまま何も答えない私に、痺れを切らして訊いてくる。
「それ、は.....」
(....何て答えよう)
ちらりと、現実逃避のために視線を右に滑らせた。
二人を取り巻くチリチリとした空気と対照的に、先ほどまで居たホールからは、陽気な音楽や雰囲気が伝わってくる。
本当なら今もホールの中で、楽しげな皆に紛れて、出会いを探していたはずだったのに。ドアから離れたこんなロビーの片隅で、幼馴染に詰問されている光景など想像もしていなかった。
そもそも、いま何故、彼は怒っているのか。
(....私、何かした?)
内心、恨めしくなって、再び目の前の一生を見る。
自分の答えを待つその姿勢に、逃れることなど不可能だと悟って、仕方なく思いつく理由を口にした。
「それは...私もそろそろ25歳だし?結婚のこと考えたら、もう相手見つけとかないとヤバいかなって」
言葉にしたらひどく安っぽくて、言い訳がましく聞こえる。ズクリと胸が疼いた。
「...ふぅん。25歳だからお前の外見しか見ない奴らを結婚相手の候補にしちゃうわけ?...だからいつもうまくいかないんだよ」
吐き捨てるように言う一生に、ついにプチンと頭の中で音がした。
「な、なによ~!?そんな言い方ないでしょ?もしかしたら、どこかに外見だけじゃなく中身まで見てくれる王子様がいるかもしれないじゃない!」
思わずこぼれ出る願望。さっき疼いた胸が、ツキンツキンと明確な痛みに変わった。
一生は呆れた様子で、ため息を漏らす。
「王子様、ね。一体この世のどこに、その王子様とやらはいるんだよ。...そろそろ、目の前の現実見たら?」
「....はいはい、わかってますよ~。こんな私が王子様と出会えるわけないって言うんでしょ」
きつい言葉に、表情を取り繕ってどうにか気丈に振る舞う。
悔しい。彼は、いつもそうだ。普段優しいくせに、恋愛関係になると、途端に口うるさくなって、いつもなら考えられないような言葉を投げかけてくる。まぁ、懲りもせず似た恋愛を繰り返しては愚痴を吐く私を迷惑に思うのはわからなくもないが。そこまで言わなくたっていいではないか。唇をツンと突き出した。
「...そうじゃなくて。あー、もう、お前鈍すぎ」
と、短い黒髪をわしゃわしゃと乱して、彼が口調を強めたことに、首を傾げる。
「え?」
「....だから。どこにいるかもわからない王子様を探すのなんてやめて、現実に目向けろって。その大きくて綺麗な目、ちょっとは活用しろよな?お前のすぐそばに、めちゃくちゃ《《優良物件》》が転がってんだろうが!」
「....え、え、え?」
ポカンと口が開いた。
褒められたと感じた言葉通り、目を見開いてよーく見たら....
そこには、カァッと顔を真っ赤にした一生が真剣な眼差しを私に向けて立っていたーー。
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