いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜
5. 沁みる
「は~い、お待たせしました~。今月のパフェ・『秋の宝石パフェ』と『マスカットパフェ』よ~」
店内へと飛んでいた私の意識を、磯村さんの声が引き戻す。同時に、コツ、コツ、と微かな音を立てて、縦長のパフェグラスに綺麗に盛られたフルーツや生クリームたちがお目見えした。
「はやっ!」
「ふ、ふ、ふ~♪このわたしが、お客様をお待たせするわけないでしょ~?じゃ、ごゆっくり~」
まだほんの数分しか経っていないのにもう注文した品が出てきて、驚いてツッコむ私に、磯村さんは人差し指を振って、ウィンクしながら去って行った。
私が頼んだのは、『秋の宝石パフェ』。ぶどうや梨、柿やりんごと、秋のフルーツがふんだんにのったパフェはその名の通り、宝石みたいにキラキラしている。
それから一生は、『マスカットパフェ』。マスカットで埋め尽くされたグラスは、つやつや瑞々しくて、思わずよだれが垂れてきそうになる。
「うっわぁ~!やっぱり美味しそう!」
「だな」
「一生のは、シャインマスカット?そっちも、美味しそう~!」
磯村さんは、とんでもなく料理が上手だ。そりゃもちろんお店を出せるくらいだから、上手に決まっているのだろうが.....この『イルミナージュ』は、私が知っているお店の中でダントツ一番の味。ドンピシャで私好みの味付けやラインナップだったりする。そして、ここのお料理は全て磯村さんが作っていて、彼がお休みの日は『イルミナージュ』も定休日となっているのだ。
今、私の目の前にある『今月のパフェ』は、旬の食材を使った月替わりパフェで、磯村さんの超自信作。本当に毎月ハズレなんて一切なしの最高の味で、私は密かにこれを楽しみにしている。一生は、そのことをよく知っていた。
「ん。こっちも食べていいぞ」
「い、いいの?」
ゴクリと喉が鳴った。
「はは、何を今更。いつも食べてるだろ?残ったら俺が食べるから、好きなだけ食べろよ」
「....ありがとう、一生」
本当優しいな。いつも私とは別のパフェを頼んで、分けてくれる。甘いものが大好きな私が色々食べられるように。これは一生の優しさで、今日は落ち込む私を慰めるための行動でもあるのだ。
(沁みる....)
また、少しだけ目が潤んだ。
「....じゃあ、お言葉に甘えて。いただきます」
手を合わせる。
真ん中から底までが細くなっているパフェグラスでも、難なく最後まで食べられる長いスプーンを使って、まずは柿と生クリームをひとくち分すくって、口に運んだ。
「ん~~~っ!さいっこう!!」
落ちそうなほっぺに手を当てる。目は自然と細まり、唇は幸せな弧を描いた。予想通り、今月も極上のパフェの味に、身も心も蕩ける心地だ。
ふっ、と一生が頬杖をついて、嬉しそうに微笑んだ。
「やっぱ、百面相。....可愛いな」
パフェに夢中な私は、その微笑みにも、小さな呟きにも、全然気づかなかった。
店内へと飛んでいた私の意識を、磯村さんの声が引き戻す。同時に、コツ、コツ、と微かな音を立てて、縦長のパフェグラスに綺麗に盛られたフルーツや生クリームたちがお目見えした。
「はやっ!」
「ふ、ふ、ふ~♪このわたしが、お客様をお待たせするわけないでしょ~?じゃ、ごゆっくり~」
まだほんの数分しか経っていないのにもう注文した品が出てきて、驚いてツッコむ私に、磯村さんは人差し指を振って、ウィンクしながら去って行った。
私が頼んだのは、『秋の宝石パフェ』。ぶどうや梨、柿やりんごと、秋のフルーツがふんだんにのったパフェはその名の通り、宝石みたいにキラキラしている。
それから一生は、『マスカットパフェ』。マスカットで埋め尽くされたグラスは、つやつや瑞々しくて、思わずよだれが垂れてきそうになる。
「うっわぁ~!やっぱり美味しそう!」
「だな」
「一生のは、シャインマスカット?そっちも、美味しそう~!」
磯村さんは、とんでもなく料理が上手だ。そりゃもちろんお店を出せるくらいだから、上手に決まっているのだろうが.....この『イルミナージュ』は、私が知っているお店の中でダントツ一番の味。ドンピシャで私好みの味付けやラインナップだったりする。そして、ここのお料理は全て磯村さんが作っていて、彼がお休みの日は『イルミナージュ』も定休日となっているのだ。
今、私の目の前にある『今月のパフェ』は、旬の食材を使った月替わりパフェで、磯村さんの超自信作。本当に毎月ハズレなんて一切なしの最高の味で、私は密かにこれを楽しみにしている。一生は、そのことをよく知っていた。
「ん。こっちも食べていいぞ」
「い、いいの?」
ゴクリと喉が鳴った。
「はは、何を今更。いつも食べてるだろ?残ったら俺が食べるから、好きなだけ食べろよ」
「....ありがとう、一生」
本当優しいな。いつも私とは別のパフェを頼んで、分けてくれる。甘いものが大好きな私が色々食べられるように。これは一生の優しさで、今日は落ち込む私を慰めるための行動でもあるのだ。
(沁みる....)
また、少しだけ目が潤んだ。
「....じゃあ、お言葉に甘えて。いただきます」
手を合わせる。
真ん中から底までが細くなっているパフェグラスでも、難なく最後まで食べられる長いスプーンを使って、まずは柿と生クリームをひとくち分すくって、口に運んだ。
「ん~~~っ!さいっこう!!」
落ちそうなほっぺに手を当てる。目は自然と細まり、唇は幸せな弧を描いた。予想通り、今月も極上のパフェの味に、身も心も蕩ける心地だ。
ふっ、と一生が頬杖をついて、嬉しそうに微笑んだ。
「やっぱ、百面相。....可愛いな」
パフェに夢中な私は、その微笑みにも、小さな呟きにも、全然気づかなかった。
