婚約者にバカにされ続けた侯爵令嬢が「ざまぁ」するに至るまで
 ある晩、オリン公爵家の食事時に第二王子の話題が上がった。


「第二王子から、救済策として領地開拓をご依頼いただいた」

「まあ、どちらの土地ですの?」

「東部なのだがね。インサラータ伯爵が交易路を開拓しているため、王都までの道中を街道として整備してほしいということだ」

「なるほど、馬車や運搬夫のための宿場町の整備ということでしょうか」

「ああ。地域の活性化のためにもよろしく頼みたいということだ。……おそらくブライズ侯爵が推薦してくださったのだろう」

「ありがたいことですわね」

「そこでだ」


 オリン公爵は、聞くともなしに聞いていたエリオットへ顔を向けた。


「エリオット、やってみるがいい」

「えっ!?」

「お前はオリン公爵家の跡取りという立場に胡坐をかき、何もしてこなかっただろう。いい機会だ。オリン公爵家の跡取りとして、その手腕を発揮してくるといい」

「で、でも僕一人でだなんて」

「母上なり友人なりに相談するがいい。必要な情報は後で渡す。ともかく、お前がやるんだ」


 返事のできないエリオットに、オリン公爵は何も言わなかった。

 これまで甘やかしすぎたことを反省するかのように、公爵も夫人も黙ったまま息子を見守ることにした。
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