雨のち花憑き
ふっと意識が浮上したとき、部屋の中は濃い闇に包まれていた。
窓の外では、細い月が雲の合間から顔を出している。
「⋯⋯夢」
喉が、酷く乾いている。
鈴花はベッドから這い出し、忍び足でキッチンへと向かった。
蛇口をひねり、グラスに水を注ぐ。
水の音が、夢の中の足音と重なって聞こえ、鈴花は思わず指先を震わせた。
冷たい水を一気に飲み干すと、身体の芯に残っていた夢の余韻が、少しだけ薄れていく。
台所の窓から見える夜の街は、夢の中のような霧もなく、ただ静かに眠っている。