サブキャラ令嬢ですが、神竜王陛下を溺愛させて幸せエンドにします! ~ヤンデレ親友と同盟して、悲恋ルートを全部へし折ります~
お子様二人。
国王陛下の思惑やら何やらはさておいて、私はローランとの(一方的な)再会が嬉しかったんだけれど、事はそうはいかない。翌日、私とローランは王宮から呼び出しを受けた。
「やだなー」
思わず呟いた私に、エージュも溜息を零している。まだ、エージュは王宮に上がることになっていない。それは確定された未来だけれど、現在のことではない。
「わたくしが付いていければ……」
「アレクシアが行きたくないなら、行かなくていい。私に命じることができるのは、アレクシアだけ。アレクシアがそれを放棄した今、私に命じることができる者はいない」
私の隣に座って、甘いチョコレート菓子を堪能しているローランは、はっきり言い切った。神竜の王としての誇りに溢れているけど、口元についたチョコレートで台無しだ。
そって口元を拭ってあげたら、不思議そうに首を傾げられた。可愛いからやめて下さい。
「……アリー。悶えるのは後にしてね」
エージュの声は呆れを含んでいるものの、きつくはない。五ヶ月分の禁断症状だと、納得してくれている。──諦められているとも言う。
「行かないという選択肢はないのよね。行かなかったら、私──ラウエンシュタイン家が、神竜王の加護を独占しようとしている、って口実になるんでしょ?」
「ええ。あなたの意志を奪って、#自動人形__オートマータ__#のようにする方法が、ないわけではないし」
つくづく、恐ろしい世界だわ。
私も溜息をつきたくなったけど、ローランが不安そうに見つめるから我慢した。行きたくないのはわかってるけど、ごめんね。
「ごめんなさい、ローラン。私、行かなきゃ」
「……アレクシア」
「でも、あなたはここに残っていてもいい。大丈夫、一人でも平気」
「私は、アレクシアがいないと平気ではいられない。アレクシアが行くなら、私も行く」
──殺し文句ではない。愛の告白ではない。ただ、小さな子供が母親の後を追いかけているようなものだと、必死に自分に言い聞かせる。
「アレクシア?」
「神竜王陛下。そっとしておいてあげて下さいな」
心配そうなローランの視線と、すべて悟っているエージュの生温かい視線を感じた。何も言わずにいてくれる親友よ、ありがとう。
「アリーだけでは駄目よ。神竜王陛下にもご同行いただかないと、神竜王召喚を信じない者が圧倒的なはずだわ」
そうね。お父様とお母様ですら、ローランが竜型になって初めて納得したくらいだものね。
「ならば、私は竜型になる。その姿なら、アレクシアを王宮まで運べば、人は納得するだろう?」
「駄目。事前に予告なく竜型になったら、都の人達が#恐慌状態__パニック__#になるわ」
先に聞いていたお父様達ですら、あまりの神威に立っていられなかった。ローランが人型に戻るまで、ずっと跪いていた。
「それでは、どうやってアレクシアを守ればいい?」
途方に暮れた子供みたいな口調に、あー、私はやっぱり守られたいんじゃなくて守りたい願望が強いんだなあと思った。要するに、ローランが可愛すぎて動悸が乱れまくっている。
「いいわ、わたくしも同行する。リヒト殿下に御機嫌伺いするという名目なら、事後承諾でいいでしょうし」
私とエージュのリヒト殿下への評価は、「とても都合のいい王太子殿下」である。意訳すると、便利なんです、あの王太子殿下は。
「神竜王陛下は、竜型になるとどのくらいのお姿?」
「アレクシアを、手のひらに収められると思う」
とんでもなく大きい。確か、ゲームでは、王宮の大広間に、何とか入れるかどうかという大きさだった。
「とても窮屈だと思いますけど、王宮で竜型になっていただくかもしれません。わたくしが、陛下を「バハムート」とお呼びしたら、竜型を取っていただけますか?」
「アレクシアは、それでいい?」
「ええ」
「わかった」
私に確認してから、ローランはエージュのお願いに頷いた。エージュは、満足げに微笑む。
「神竜王陛下。どなたがお相手でも、そのようになさって。どなたの言葉でも、お受けになるか否かは」
「アレクシアの意志次第。私は、アレクシアに最大の敬意を払う。#人__ヒト__#に払っているわけではない」
「ええ。でも、そのことをわからぬ者もおりましょう」
その筆頭が国王と宰相だと、エージュの声にならない言葉が伝わってきた。彼女にとって、国王陛下は父ではなく、ただ「国王」でしかないと、思い知る。
「……アリー?」
「……私、エージュが好きよ。大好きよ」
父にも、母にもなれないけれど。
親友でしか、いられないけれど。
「あら。では、リヒト殿下の妃になって、わたくしのお姉様になってくれるの?」
「謹んで辞退します」
「冗談よ。リヒト殿下は悪い方ではないけれど、アリーをあげるほどではないもの」
笑いながら、ローランを凝視した。見つめるというより、見定める視線で。
「……王の姫?」
「……神竜王陛下は、外見は完璧だけれど……中身が……」
手のかかる子供同士だものねえ、という呟きは、聞こえなかったことにした。
「やだなー」
思わず呟いた私に、エージュも溜息を零している。まだ、エージュは王宮に上がることになっていない。それは確定された未来だけれど、現在のことではない。
「わたくしが付いていければ……」
「アレクシアが行きたくないなら、行かなくていい。私に命じることができるのは、アレクシアだけ。アレクシアがそれを放棄した今、私に命じることができる者はいない」
私の隣に座って、甘いチョコレート菓子を堪能しているローランは、はっきり言い切った。神竜の王としての誇りに溢れているけど、口元についたチョコレートで台無しだ。
そって口元を拭ってあげたら、不思議そうに首を傾げられた。可愛いからやめて下さい。
「……アリー。悶えるのは後にしてね」
エージュの声は呆れを含んでいるものの、きつくはない。五ヶ月分の禁断症状だと、納得してくれている。──諦められているとも言う。
「行かないという選択肢はないのよね。行かなかったら、私──ラウエンシュタイン家が、神竜王の加護を独占しようとしている、って口実になるんでしょ?」
「ええ。あなたの意志を奪って、#自動人形__オートマータ__#のようにする方法が、ないわけではないし」
つくづく、恐ろしい世界だわ。
私も溜息をつきたくなったけど、ローランが不安そうに見つめるから我慢した。行きたくないのはわかってるけど、ごめんね。
「ごめんなさい、ローラン。私、行かなきゃ」
「……アレクシア」
「でも、あなたはここに残っていてもいい。大丈夫、一人でも平気」
「私は、アレクシアがいないと平気ではいられない。アレクシアが行くなら、私も行く」
──殺し文句ではない。愛の告白ではない。ただ、小さな子供が母親の後を追いかけているようなものだと、必死に自分に言い聞かせる。
「アレクシア?」
「神竜王陛下。そっとしておいてあげて下さいな」
心配そうなローランの視線と、すべて悟っているエージュの生温かい視線を感じた。何も言わずにいてくれる親友よ、ありがとう。
「アリーだけでは駄目よ。神竜王陛下にもご同行いただかないと、神竜王召喚を信じない者が圧倒的なはずだわ」
そうね。お父様とお母様ですら、ローランが竜型になって初めて納得したくらいだものね。
「ならば、私は竜型になる。その姿なら、アレクシアを王宮まで運べば、人は納得するだろう?」
「駄目。事前に予告なく竜型になったら、都の人達が#恐慌状態__パニック__#になるわ」
先に聞いていたお父様達ですら、あまりの神威に立っていられなかった。ローランが人型に戻るまで、ずっと跪いていた。
「それでは、どうやってアレクシアを守ればいい?」
途方に暮れた子供みたいな口調に、あー、私はやっぱり守られたいんじゃなくて守りたい願望が強いんだなあと思った。要するに、ローランが可愛すぎて動悸が乱れまくっている。
「いいわ、わたくしも同行する。リヒト殿下に御機嫌伺いするという名目なら、事後承諾でいいでしょうし」
私とエージュのリヒト殿下への評価は、「とても都合のいい王太子殿下」である。意訳すると、便利なんです、あの王太子殿下は。
「神竜王陛下は、竜型になるとどのくらいのお姿?」
「アレクシアを、手のひらに収められると思う」
とんでもなく大きい。確か、ゲームでは、王宮の大広間に、何とか入れるかどうかという大きさだった。
「とても窮屈だと思いますけど、王宮で竜型になっていただくかもしれません。わたくしが、陛下を「バハムート」とお呼びしたら、竜型を取っていただけますか?」
「アレクシアは、それでいい?」
「ええ」
「わかった」
私に確認してから、ローランはエージュのお願いに頷いた。エージュは、満足げに微笑む。
「神竜王陛下。どなたがお相手でも、そのようになさって。どなたの言葉でも、お受けになるか否かは」
「アレクシアの意志次第。私は、アレクシアに最大の敬意を払う。#人__ヒト__#に払っているわけではない」
「ええ。でも、そのことをわからぬ者もおりましょう」
その筆頭が国王と宰相だと、エージュの声にならない言葉が伝わってきた。彼女にとって、国王陛下は父ではなく、ただ「国王」でしかないと、思い知る。
「……アリー?」
「……私、エージュが好きよ。大好きよ」
父にも、母にもなれないけれど。
親友でしか、いられないけれど。
「あら。では、リヒト殿下の妃になって、わたくしのお姉様になってくれるの?」
「謹んで辞退します」
「冗談よ。リヒト殿下は悪い方ではないけれど、アリーをあげるほどではないもの」
笑いながら、ローランを凝視した。見つめるというより、見定める視線で。
「……王の姫?」
「……神竜王陛下は、外見は完璧だけれど……中身が……」
手のかかる子供同士だものねえ、という呟きは、聞こえなかったことにした。