バッドエンド後の死に戻り転生悪役令嬢は、ヤンデレ皇帝の狂愛を受ける 私が救済の歌姫なんて、聞いてませんわ!
 ――このままでは、ラルラの身が危険に晒される……!

 慌てて目元から溢れ出る雫を指先で拭い、彼女を庇った。

「違いますわ。ラルラは何も……!」
「下がれ」
「かしこまりました」

 その行動すらも、今は彼を苛立たせるスパイスにしかならない。
 ラルラは会釈してから部屋を立ち去り、私達はあっという間に2人きりになってしまった。

「俺のいないところで、涙を流すとは頂けないな……」
「だ、ダグ、ラス……!」
「何があった」

 咄嗟に視線を逸らそうと首を振るが、すぐに顎を掴まれて上を向かされてしまう。
 水色の瞳が、これから獲物を捕食しようとしている獣のように細められる。

「こ、これは……っ。大したことでは、ありませんの……!」
「隠すな」

 異論は受けつけないとばかりに凄まれてしまったら、弁解の余地はない。
 いつものように突き放したら、最悪の場合は命を奪われてしまう。

 私は身の危険を感じ、渋々全身から力を抜いた。
< 203 / 260 >

この作品をシェア

pagetop