転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 伯爵家で記憶の戻らないユリアに精一杯の援助をしていた頃も、いつもこうやって心配していた。

(……僕が、誘わなかったら……)

 生まれ変わって、ユリアの顔を見た瞬間、前世の妹だと理解した。
 それと共に押し寄せてくるのは、後悔の念。
 前世でユリアと死別してから、ずっと後悔を抱えてきた。あの時、一緒に食事をしようなんて誘わなかったら。待ち合わせ場所を変えていたら。もっと早い時間を指定していたら。
 周囲の人達は皆、アーゲルの責任ではないと言ってくれた。アーゲルだって、頭ではわかっていたのだ。
 不幸な事故。きっと、普通ならその一言で片づけられてしまうそんな出来事。
 毎年毎年、命日が来る度に後悔して、謝って、そして自分だけが幸せになることをどこか後ろめたくも思っていた。
 生まれ変わって、自分と兄の扱いが違うのに気づいた時、前世の罰を与えられたのだと思っていた。
 けれど、違った。再び彼女と兄妹になれた。それなら、アーゲルがすべきなのは、妹を守ることだ。
 でも、ユリアには記憶がなくて――。前世の記憶を共に語り合えたなら、きっと伯爵家の生活ももっと耐えやすかっただろうに。
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