転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 ふたりが見ている前で、グレイスはなおも槍を振る。突き、払い、そして背後に振り抜いたところで止まった。

「ふぅ」

 ぱちぱちと手を叩くと、彼女は額に滲んだ汗を拭った。

「さ、朝食に行きましょう」

 槍を片づけたグレイスが手を伸ばす。ユリアは素直に、その手を取った。

「グレイス様は、いつもこうしているの?」

 アーゲルはグレイスとは手を繋がなかったけれど、グレイスを挟んでユリアとは反対側を歩いている。

「ええ。雨が振らない限り毎日ね! 騎士団の訓練に加わることもあるわよ!」

 槍の稽古を終えたら、朝食前に散歩をするそうだ。

「……食べられるものが多いね」
「あら、気が付いた? いざって時にはここに住民を避難させるの。食べられるものは、少しでも多い方がいいでしょう?」

 ユリアが気づいた通り、辺境伯家の庭は伯爵家のものとはまるで違っていた。
 室内を飾る花も育てられているが、それ以上に食べられるものが植えられている。可愛い花だと思ったら、薬草だった。
 庭に植えられている木は果樹が多く、人目につきにくい場所には畑も作られている。

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