転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
「辺境伯令息の事業でしたか……それでは、割り込むわけにはいきませんな」

 うやうやしく頭を下げた商人は、工場から出ていった。テーブルの下で、ユリアとアーゲルは顔を見合わせて息をつく。
 出ていく商人を見送ったジョイは、テーブルの下に隠れているふたりのところへやってきた。テーブルにかけられている布をひょいと捲り、中をのぞき込む。

「お前ら、こんなところにいたのか。工場はどうだ?」
「すごい!」
「お腹が空くよね。スープのいい香りがするから」

 ジョイの問いかけにユリアは両手を上げ、アーゲルはお腹のあたりを押さえた。
 たしかにスープのいい香りは、食欲をそそる。

「ま、俺が関わっていると知ったからあいつもおとなしくなるだろ。冒険者向けに作っているものだしな」
「……そうだね」

 ジョイはなんてことないように言うけれど、ユリアは嫌な予感がするのを押さえることはできなかった。

 このところ、辺境伯家に出入りする人の数が増えている。というのも、携帯スープ事業に関わっている人達が辺境伯家を訪れているからだ。
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