転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 だから、辺境伯家の中でも外に近い部分にはユリアやアーゲルの知らない人達も出入りしている。
 仕事を求める人も、まず辺境伯家を訪れる。ジョイの許可がない限り、工場では働けないからだ。

「……ユリアお嬢様、ですか?」
「誰?」

 ユリアは、声をかけてきた女性に警戒心むき出しの目を向けた。この屋敷の中に、ユリアのことを「ユリアお嬢様」などと呼ぶ人はいない。
 声をかけてきたのは、地味な服装の女性だった。三十代後半というところだろうか。ごくごく一般的な庶民の服装だ。ベージュのブラウスにベスト、ベストと共布のスカート。足元はしっかりとしたブーツを履いている。

「私は、仕事の面接に来た者です」
「……それなら、来る場所を間違えてるよ。面接したいなら、あっちに行かなくちゃ」

 ユリアは、女性を見上げた。

(……なんか、変な人)

 変な人という表現はどうなのだろうと自分でも思ってしまう。けれど、目の前の女性は、仕事を求めてきた人とはどこか違うように見えた。

「……そうなのですね、ありがとうございます」

 ユリアに一礼し、彼女は立ち去る。ユリアはその後ろ姿を見送った。

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