転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
「……携帯スープの製法が気になるのでしょうね。あの家は、近頃落ち目になっているから」

 落ち目になっている、と言いながらグレイスは目で笑っている。

「それでね、僕、声をかけてきた女性にはいい顔をしておいたんだ」

 にやりと笑って、アーゲルは続けた。
 彼の説明によれば、女性には伯爵家に戻ることに意欲的に見せておいたという。
 あの時、ジョイが声をかけたので話は中断してしまったが、彼女の正体に気づかれてはいないとアーゲルは見ている。

「だからさ、その女性にこっちから声をかけてやるっていうのはどう? 適当な情報を渡してやるの」

 彼女がスパイのような存在ならば、こちらから情報を流してやるというのもありではないだろうか。そうすれば、敵を一度に倒すことができる。

「アーゲル!」

 向かい側に座っていたラーヴァルが声をあげ、アーゲルもユリアもソファの上で飛び上がった。

「お前、わっるい子だなぁ! いいぞいいぞ!」

 テーブル越しに手を伸ばしたラーヴァルは、アーゲルの頭をぐしゃぐしゃとかき回す。頭に手をやったアーゲルは笑い声をあげた。

(……あ、笑った)

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