転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 ふたり、声を揃えて返事をする。辺境伯の声音からは、なにやら真摯なものが感じられた。それは茶化してはいけないものだということがユリアにはわかった。
 執務室に入った時には、グレイスとジョイも待っていた。

「アーゲル、ユリア、いらっしゃい」

 ソファに座ったグレイスは、ユリアを膝の上に乗せ、隣にアーゲルを招く。アーゲルは、そっと隣に座った。
 テーブルを挟んだ反対側にはラーヴァルとジョイが並び、ジョイは大きな地図をテーブルに広げる。

「……魔物?」
「ああ、大発生だ。とはいえ、我が家の領地ではないのだがな」

 ラーヴァルに目で合図され、ジョイが指で押さえたのは、モルヴァーリード伯爵家の領地だった。比較的、辺境伯領に近い場所だ。

「伯爵家の領地なのに、ここの人達がピリピリしているの?」

 と、ユリアが首を傾げたのも当然のこと。貴族は、他の貴族の領地に手を出さないものなのだ。

「……それがなぁ」

 辺境伯が額に手を当てながら言うには、どうも魔物が大発生してしまった原因が、伯爵家にあるらしい。

「長男のために、魔物を用意していたらしいんだが」
「あー」

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