転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 使用人達の話を総合すると、サールドは長兄で『伯爵家』の跡取り。おまけに持っている『スキル』が有用なものらしい。
 アーゲルとユリアのスキルは、さほど有用なものではないそうだ。というか、『外れ』らしい。
 ユリアには、それだけでこんなにも扱いの変わる理由がわからない。だが、訴えたところで何が変わるというわけでもない。
 水で膨れたお腹を撫で、立ち上がった時だった。

「ユリア、こんなところにいたのか。僕と遊ぶ?」

 近づいてきたのは、すぐ上の兄アーゲルだ。ユリアの方に優しい笑みを向けている。
 アーゲルはサールドとは違って、ユリアのことを気遣ってくれる。
 ユリアもふたりの兄のうち、サールドには近寄らないようにしていたけれど、アーゲルとは仲良くしている。おやつを分けてくれるからだ。
 けれど、今日は違っていた。アーゲルの顔を見たとたん、誰かの声が聞こえたような気がした。その声に引きずられるように、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
 なんだろう、これは。
 激しい頭痛を覚えて、その場にしゃがみ込んでしまう。
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