転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 と、ティリスが弓の手入れをしながらつぶやく。基本的に、野営の時に入浴は不可能だ。水で濡らした手拭いで身体を清潔にして終了。時には、それさえできないこともある。

「ティリスがお湯を用意すれば入れるんじゃないかしら? 場所は貸してくれるでしょうし」

 とロスティが話に加わる。彼女達は従姉妹という関係だが、家がすぐ近くにあることから、姉妹のように育ったそうだ。

「お湯の用意をするのはいいけど……」

 ティリスが浮かない顔をしているのは、魔術で簡単にお湯を用意できるとしても、疲れたところで用意するのは面倒らしい。
 女性ふたりは放っておいて、ユリアは作業に戻る。

「ユリア、これいるか?」
「……ありがと」

 ジョイが袋から取り出したのは、蜂蜜で作った飴だ。
 蜂蜜は砂糖ほど高価ではないとはいえ、ほいほい渡してくるジョイはいったい何者なのだろう。
 ユリアの中でも、彼を警戒するアンテナをビンビンと立てておく。
 そう、ジョイだけは彼らの中で異質なのだ。どうして彼らは、時々とはいえジョイを仲間に入れているのだろう。

 期待していた村に到着したのは、翌日の夕方だった。
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