転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 アーゲルの声は鋭かった。辺境伯夫人の機嫌を損ねることもまったく恐れていないのだろう。けれど、辺境伯夫人の方もただものではなかった。
 彼女は、ふんと鼻を鳴らしただけ。

「馬鹿々々しい。子供に頼らなければいけないほど、この辺境伯領は人材に困ってはいませんよ。それに、あなたはすごい魔術師なんでしょ。私達が信用できないと思ったら、その時出ていけばいいじゃない。少なくとも、妹さんの方は休む時間が必要よ」

 辺境伯夫人に見られ、ユリアは目を瞬かせた。休む時間が必要って、どういうことだ。

「自分ではわからないわね。でも、あなた疲れきっているわよ。冒険者と一緒に旅をするなんて、とてもとても頑張ったのね」

 辺境伯夫人の言葉に、ユリアは自分の身体を見下ろした。
 服は、ここまでの旅の間にすっかりくたびれている。服を綺麗にする魔術をアーゲルがかけてくれたけれど、生地そのものが痛むのは彼でもどうにもならない。

「……さ、お風呂に入って少しおやすみなさい。夕食の時間には起こしてあげますからね」
「……あの」

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