転生したけど捨てられそうなので、兄妹で楽しく生きることにします~超チートな家出兄妹は辺境で幸せ家族ができました~
 ユリアは女性に声をかけようとしたけれど、彼女はまったく聞いていないようだった。

「息子達が子供の頃に使っていたベッドをひっぱりだしてきたのよ! 嫌だったら新しいのを用意してもいいけれど、物はいいからしばらく使ってみてね!」
「えっと」

 今度はアーゲルが口を挟もうとするが、これもまた無駄な努力。
 彼女は床に敷かれているラグの上にそっとユリアを下ろした。慌てたアーゲルがユリアを強く抱きしめる。

「ふたりとも、はじめまして。私はグレイス。ソーンフィールド辺境伯夫人よ」

 黙り込んだまま、アーゲルとユリアは顔を見合わせた。この人が、ふたりに何を期待しているのかがわからない。

「ジョイラージュから話は聞いているわ。あなた達、なんだか大変そうね。でも、ここではそのことは忘れていいわ。あなた達には、ちゃんとした家と、落ち着いてこれからのことを考える時間が必要よ」

 辺境伯夫人は、どこまでわかっているのだろう。けれど、それを問いかけることはできなかった。

「そんなこと言って、僕の魔術を利用したいんじゃないの?」

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