クロとシロと、時々ギン

真実はすぐそばに(2)

 駅前にある喫茶店に入り、奥まった席へと座る。
 それから数分もしないうちに、約束の人物は現れた。

 白谷吟は私の姿を見つけると、軽く手を振って近づいてきた。
 相変わらず完璧な笑顔。
 全てを見通されているような気がして、私は思わず目を逸らす。

「驚いたよ。矢城さんから連絡をもらうなんて」

 爽やかすぎる声にハッとなる。
 慌てて頭を下げた。

「すみません。お休みの日に呼び出してしまって」

 相手の貴重な時間を割いてもらうのだから、失礼な態度はダメだ。
 反省していると、白谷吟は首を横に振り、優しく微笑んだ。

「いいよ別に。特に予定もなくて暇していたから。それより矢城さんの方こそ良かったの? せっかくの休みなのに」

 そう言って、彼は私の顔を覗き込んだ。
 私はこくりと頷く。

「はい。実は白谷先輩に伺いたいことがあって」

 私は単刀直入に聞いた。

「シロ先輩って小学生の頃に、白谷先輩のご自宅の隣に越してきたんですよね? それ以前はどこに住んでいたか、聞いたことありますか?」

 白谷吟はその質問に一瞬キョトンとした表情を浮かべたが、すぐに納得したように頷いた。

「うん。知ってるよ。確か……」

 その答えを聞いて、私の心臓はどきりとした。
 また期待値が跳ね上がる。

「でも、どうしてそんなことを訊くの? 史郎には直接聞けない感じ?」

 問われて、私は一瞬躊躇う。
 でも、意を決して打ち明けることにした。
 もしかするとシロ先輩がシロヤギさんではないかと思っていることを。
 最初はシロ先輩に直接尋ねようと思ったけれど、今日は予定があると断られたこと。

 それを聞いた白谷吟は驚くこともなく、ふぅんと呟いただけだった。
 もっと驚かれると思っていた。
 しかし、よく考えてみれば、白谷吟にとってはシロヤギさんの正体など全く関係のないことだった。
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