クロとシロと、時々ギン

それって、まさかお見合い!?(3)

 当時はそれなりに仲が良かったのだが、いつの間にか疎遠になってしまっていた。
 ふうんと興味なさげに見ていると、母が口を開いた。

「その子って、あんたが高校生の頃に何度かうちに遊びに来た子よね?」

 確認するように聞いてきた言葉に、私は曖昧な反応を返す。

「え? うん。まぁ」

 確かに高校時代、何度か家に連れて来たことはあった。だけど、なぜ今さらそんなことを聞かれるのか分からず戸惑った。
 母は何かを考えるように腕を組み、それからじっと私を見つめてきた。その瞳は真剣そのもので、思わず身構える。
 そして意を決したように母が言った。

「あんたの歳で、もう結婚する子がいるのね」
「え? うん。そりゃ、もう二十五だしね。そろそろ結婚する子も出てくるんじゃない」

 なんだか少し芝居がかった母の口調に不自然さを感じながら軽く返す。
 すると、その言葉を逃すまいと、母がずいっと身を乗り出してきた。

「それで? あんたは結婚、どうするの?」
「は?」

 前のめりな母の言葉に私は耳を疑う。
 いやいやいや。何を言っているんだ、うちの母上は。
 結婚もなにも、そもそも誰とも付き合っていない。
 相手すらいない私に、いったい何の話をしているのだ、この人は。
 そんな思いを込めて母を見ると、母はなおも食い下がってくる。

「本当にお付き合いしてる人はいないの?」

 その目は探るようにこちらの反応をうかがっていた。
 一体何が知りたいのだろう。全く意図が分からなかった。
 しかし、ここで下手にごまかすのは得策ではない気がしたので、面倒だったが正直に答える。

「だから、そんな人いないって言ってるでしょ。何なのよ。一体?」

 苛立ちながら言うと、母はなぜかとても嬉しそうに笑みを浮かべた。母の態度に私は首を傾げる。

(何なんだ?)

 ますますわけが分からない。困惑する私に向かって、母が笑顔のまま口を開く。

「じゃあ、今度お母さんの知り合いの息子さんに会ってみない?」
「……は? 何でよ?」

 母の言葉に私は目を大きく見開く。今度とはどういうことだろうか。全く話が見えない。
 母の意図が読めず困惑していると、母は続けた。
 どうやら母の知り合いの息子というその人も、私同様に浮いた話の1つもない人らしい。
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